命にかかわる合併症も
検査は1分
副鼻腔炎には風邪のウイルスや細菌以外が原因となる「好酸球性副鼻腔炎」もある。白血球の一種である好酸球の生成が骨髄で活発になり、それが血流に乗って副鼻腔の粘膜に多く集まると炎症を引き起こすのだ。
そのメカニズムは完全には解明されておらず、2015年には厚労省が難病に指定した。JCHO大阪病院・耳鼻咽喉科部長の前田陽平氏が説明する。
「体質にも関係しており、簡単にいうと喘息と似ています。喘息の人は気管支に炎症が起こりやすいように、好酸球性副鼻腔炎は副鼻腔に炎症が起こりやすい人がなる。通常の副鼻腔炎よりも治りにくく、粘膜が腫れて垂れ下がる鼻茸(鼻ポリープ)もできやすい」
副鼻腔炎を悪化させないためには、その“前兆”をキャッチすることが大切だと山中氏は言う。
「副鼻腔炎は風邪症状に続いて発症する場合が多いので、前兆としては鼻水や咳、発熱などが考えられます。サラッとした鼻水からドロッとした鼻水に変わり、頬や歯、目の奥に違和感を覚えるようになったら副鼻腔炎になり始めているかもしれません。とくに鼻水が臭いと感じるようなら、鼻の奥に膿がたまっている可能性があります」
副鼻腔炎の診断は自覚症状などの問診や、内視鏡による確認などで行なうのが一般的。検査の所要時間は1分ほどだ。
「カメラで確認できない部分の炎症を確認するためにX線(レントゲン)検査を行なったり、重症度などを詳細に検査するために血液検査やCT検査などを行なう場合もあります」(同前)
山中氏によると、副鼻腔炎と診断されたらまず投薬治療が一般的だという。
「急性副鼻腔炎の場合は、ペニシリン系やセフェム系などの抗生物質を使用します。慢性の場合は粘膜をきれいに戻すため、静菌作用のあるマクロライド系の抗生物質を使います」
鼻水や膿を吸引した後にノズルを鼻に入れ、「ネブライザー」という機器で薬を噴射し、炎症部分に直接薬を塗布する方法もある。前田氏が語る。
「薬を2~3か月使用しても症状が改善しなかったり、症状が重くて患者さんがつらい場合は、手術を検討することになる。重篤な合併症を起こす可能性があるカビの固まりがある場合や、膿が脳や目に広がっている場合は最初から手術が選択肢に入ってきます」