8月、大学病院に通う姿も目撃された市川猿之助
同年代の歌舞伎役者がずっと一緒
猿之助の初公判は10月20日に東京地裁で行われる予定だ。
「本人は容疑を認めていますし、睡眠薬をすりつぶして両親に渡したと語っているように、幇助の詳細も供述しています。裁判自体は比較的短期に終わるという見方もありますが、証拠隠滅行為や動機に疑問点が多いことが焦点になるでしょう」(司法関係者)
当初から、一部では猿之助の復帰を後押しする声があった。逮捕、起訴されても、歌舞伎関係者や往年のファンを中心に、復活を期待する人は少なからずいる。
「猿之助さん自身には、復帰の意向はないとも報じられました。ただ、歌舞伎界や興行主が、そう簡単に“才能”を手放すわけはありません。稽古に裏打ちされたたしかな歌舞伎役者としての実力に、演出家としてのプロデュース能力もあります。猿之助さんが歌舞伎の現場から離れることは、歌舞伎界にとって大きな損失だと思っている人は多い」(歌舞伎関係者)
大胆不敵にも、すでに猿之助復帰までのロードマップは描かれようとしている。
「どうやら、社会貢献活動などへの取り組みをまずスタートさせて、世間の理解を得ようという考えのようです。そうして一定の“赦し”を得て復帰させようというのです。それにしても、歌舞伎界は、そもそも報じられた猿之助の『セクハラ・パワハラ疑惑』は調査も行わず、見て見ぬ振りを決め込むようです」(別の歌舞伎関係者)
現在は四六時中、歌舞伎の弟子が寄り添っていることも、復帰の布石だろう。
「歌舞伎役者Aさんは猿之助さんと同年代の役者で、彼が身の回りの世話をしています。猿之助さんの直系の弟子になって10年ほどだそうです。Aさんの本来の仕事は役者ですから、舞台に立ってこそなんですが、それに優先して猿之助さんの“お目付役”をしている。歌舞伎界として猿之助さんを庇護下に置こうとする意図が感じられます」(前出・別の歌舞伎関係者)
たしかに、A氏は前述の通院時も、自転車での外出時にも行動を共にしていた。
従兄弟の市川中車(香川照之、57才)の復帰のプロセスにも、猿之助の道筋が透ける。中車は昨夏、銀座クラブホステスへの性加害疑惑が報じられ、活動休止状態に陥った。
「テレビからは姿を消したままですが、歌舞伎の舞台には昨冬には復帰しています。歌舞伎役者は女性スキャンダルのハードルが低いことはさておき、性加害疑惑から1年が経ったこの8月下旬に、ライフワークにしてきた『昆虫』分野から派生した生態系保全活動、地球環境問題への取り組みを表明したように、『社会奉仕活動で禊ぎを済ませ、復帰する』というプロセスで“前例”を作ろうとしているのではないでしょうか。同じ澤瀉屋一門として、猿之助さんの復帰は集客という観点からどうしても必要でしょうしね」(前出・歌舞伎関係者)
歌舞伎俳優の道を選んだのはなぜか? 猿之助は、雑誌のインタビュー(『anan』2021年2月17日号)でそう尋ねられ、次のように明かした。
《それしかできなかったからです。やる気もなかったし》
それは偽らざる本心だったのだろう。しかし、「歌舞伎界のために」というお題目で、事の経緯をあいまいにしたまま猿之助の復帰を早めることは、本当に歌舞伎の未来のためになるのだろうか。
※女性セブン2023年9月14日号