アサリから除草剤成分
違反事例のうち、目立つのは食中毒をもたらす「細菌類」や「大腸菌群」。
直近の2023年度は蒲焼きウナギや白身魚から細菌類、冷凍のむき身ホタテ貝や切り身イカから大腸菌群が検出された。
つい先日、輸入した冷凍切り身イカの違反が発覚した食品会社・B社の担当者が困惑気味に語る。
「取引先は弊社との取引では初の違反です。まずは本社から現地に飛んで衛生管理を確認したい」
7月には、冷凍ゆでガニから糞便系大腸菌群の総称である「E.coli」が検出された。
「摂取すると下痢や激しい腹痛、血便などを催し、重篤化すると、溶血性尿毒症症候群などの合併症を引き起こす毒性の強い菌。猛毒で知られる『O-157』もE.coliの一種です」(垣田氏)
細菌類の混入について中国に詳しいジャーナリストで、上海の寿司店で働いた経験のある西谷格氏が語る。
「中国の一部食品工場では、従業員らが『床に落ちた商品を捨てるのはもったいない』『別に死ぬわけではない』と口にします。そもそも中国では床に落とした食品でも“視覚的に汚れがない状態”ならば問題ないと判断する傾向がある。日本とは衛生感覚が異なることを知っておくべきです」
冷凍天然甘エビ頭などから検出された「二酸化硫黄」にもリスクがあると垣田氏は話す。
「刺激臭が鼻や目、のどを刺激して、咳や気管支炎など呼吸器系への影響が懸念されます」
先述の養殖スッポンから検出されたエンロフロキサシンは薬剤耐性を損なう可能性から、水産物への使用が禁止される。
「別の養殖スッポンから検出された『ドキシサイクリン』は嘔吐下痢や発疹を引き起こす可能性が指摘されています」(垣田氏)