高層タワマンが立ち並ぶ豊洲(写真/共同通信社)

高層タワマンが立ち並ぶ豊洲(写真/共同通信社)

 豊洲駅から徒歩数分のこのタワマンの販売価格は1億~2億円ほどで、共用スペースにはフィットネスルームや卓球台、コワーキングスペースやパーティールームを完備している。

 中国国内では集合住宅の敷地ごとに高いフェンスや門を設けて緩やかなゲーテッドコミュニティを形成するのが一般的だが、1000戸以上の人々が暮らす豊洲のタワマンは、中国人にとって母国のコミュニティにも似た安心感がある、まさに“チャイナタワマン”と呼べるものだ。

 だが、日本人居住者の心境は複雑だ。同じタワマンに住む日本人女性は、声をひそめて言う。

「入居するまで、こんなに中国人が多いとは思いませんでした。この先どんどん増えて、中国人だらけになったらどうなるんだろうと不安です」

 購入した物件がチャイナタワマンと気づかなかったのも無理はない。

 ここに暮らす中国人住民は爆買いやパクリ製品などから想起される旧来の中国人像とは一線を画しており、教育水準の高いグローバル人材が大半を占める。見た目や雰囲気は日本や欧米のビジネスマン同様にシックで洗練されており、ブランドロゴをこれ見よがしに見せつけるようなことはしない。声量も決して大きすぎることはなく、マナー面の問題も特にない。

 こうした“先進国仕様の中国人”は日本社会にさり気なく溶け込んでおり、隣近所に住んでいても気づかれにくい。実際、某チャイナタワマンに住む日本人男性はこう言った。

「中国の方がそんなにたくさん住んでいるなんて、全然感じませんね」

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