スポーツ

甲子園での長髪選手の活躍で「坊主頭にする自由」が理解されにくくなっている

仙台育英を破って107年ぶり2度目の優勝を果たし、感極まる慶応高校選手たち。彼らの髪型も話題になった(時事通信フォト)

仙台育英を破って107年ぶり2度目の優勝を果たし、感極まる慶応高校選手たち。彼らの髪型も話題になった(時事通信フォト)

 日本人は「空気」に流されやすいといわれる。ライターの宮添優氏が、選択自由になったことで、別の厄介さが浮上している現実についてレポートする。

 * * *
 4年ぶりに観客有り、応援有りの完璧な形で開催された2023年夏の高校野球甲子園大会。優勝チームが文武両道の私学であったことや、上位校の複数チームの選手が「坊主頭ではない」ことが大きな話題になったことも記憶に新しいが、こうしたグラウンド外での反応が、全国の球児達に影響を及ぼしていることは見逃せない。

「だって坊主が楽なんですよ」

「坊主がダサいとか、かっこ悪いというのは、野球をやったことがない人たちの意見だと思います。どんな髪型であっても、野球に真剣に取り組む姿勢が大切だと思います」

 千葉県の私立高校2年で野球部に所属する丸尾駿太さん(仮名)は、今年の夏の県大会予選前夜、自身に「気合い」を入れるためにと、父親にお願いをして自宅浴室で丸刈りにした。丸尾さんの所属するチームメイトのうち、ほとんどが長髪ではあるが、丸尾さんはあえて坊主を選択したのだ。

「野球経験者ならわかると思いますが、やっぱり坊主が楽だし、すぐに汗も拭けるし衛生的な気がします。あと、やっぱり気合いが入るってのはありますね」(丸尾さん)

 思春期まっただ中の高校球児。髪型やファッションにも一番気を遣う時期ではあるから、かつて「坊主が当たり前」だった野球は「若者に人気が無い」と言われ、坊主頭を強制するような学生野球の雰囲気こそが、若者の「野球離れ」の原因とも評されることもあった。

 筆者はあえて坊主頭を選択した丸尾さんに、それは「逆張り」ではないか、周囲に流されないと見せたいだけではないのか?と意地悪な質問をぶつけてみたが、やはり自らの意志であることを強調し、こう訴える。

「なんか……今では逆に、坊主にすることが悪い、というような風潮さえ生まれているような気がします。坊主じゃなくても良い、から、いつの間にか坊主はダメ、という雰囲気がある」(丸尾さん)

 チーム内でも「坊主がいたら古いチームだと笑われる」と言われたこともあったが、丸尾さんは「だって坊主が楽なんですよ」と複雑な表情を浮かべる。

関連記事

トピックス

事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《あなたとの旅はエキサイティングだった》戦力外の前田健太投手、元女性アナの年上妻と別居生活 すでに帰国の「惜別SNS英文」の意味深
NEWSポストセブン
1992年にデビューし、アイドルグループ「みるく」のメンバーとして活躍したそめやゆきこさん
《熱湯風呂に9回入湯》元アイドル・そめやゆきこ「初海外の現地でセクシー写真集を撮ると言われて…」両親に勘当され抱え続けた“トラウマ”の過去
NEWSポストセブン
笑顔に隠されたムキムキ女将の知られざる過去とは…
《老舗かまぼこ屋のムキムキ女将》「銭湯ではタオルで身体を隠しちゃう」一心不乱に突き進む“筋肉道”の苦悩と葛藤、1度だけ号泣した過酷減量
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:
【激太りの近況】水原一平氏が収監延期で滞在続ける「家賃2400ドル新居」での“優雅な生活”「テスラに乗り、2匹の愛犬とともに」
NEWSポストセブン
折田楓氏(本人のinstagramより)
「身内にゆるいねアンタら、大変なことになるよ!」 斎藤元彦兵庫県知事と「merchu」折田楓社長の“関係”が県議会委員会で物議《県知事らによる“企業表彰”を受賞》
NEWSポストセブン
“ボディビルダー”というもう一つの顔を持つ
《かまぼこ屋の若女将がエプロン脱いだらムキムキ》体重24キロ増減、“筋肉美”を求めて1年でボディビル大会入賞「きっかけは夫の一声でした」
NEWSポストセブン
チームを引っ張るドミニカ人留学生のエミールとユニオール(筆者撮影、以下同)
春の栃木大会「幸福の科学学園」がベスト8入り 元中日監督・森繁和氏の計らいで来日したドミニカ出身部員は「もともとクリスチャンだが幸福の科学のことも学んでいる」と語る
NEWSポストセブン
横山剣(右)と岩崎宏美の「昭和歌謡イイネ!」対談
【横山剣「昭和歌謡イイネ!」対談】岩崎宏美が語る『スター誕生!』秘話 毎週500人が参加したオーディション、トレードマークの「おかっぱ」を生んだディレクターの“暴言”
週刊ポスト
”乱闘騒ぎ”に巻き込まれたアイドルグループ「≠ME(ノットイコールミー)」(取材者提供)
《現場に現れた“謎のパーカー集団”》『≠ME』イベントの“暴力沙汰”をファンが目撃「計画的で、手慣れた様子」「抽選箱を地面に叩きつけ…」トラブル一部始終
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン
自宅で
中山美穂はなぜ「月9」で大記録を打ち立てることができたのか 最高視聴率25%、オリコン30万枚以上を3回達成した「唯一の女優」
NEWSポストセブン