「私が思うのは、きょうだいは仲が悪くてもいいんじゃないかと」
──タイプが違っていても成績優秀だった。これは家庭教育の賜物なのでしょうか?
山口:母曰く「中学校時代の成績を統合すると、妹のほうが勉強はできた」というんですよ。確かに、私の場合には純粋に勉強が好きというよりも、どちらかというとライバルに勝つことが好きだっただけです……。その勝利を繰り返していたら、いつの間にか北海道から東京に行っていたという流れです(*山口さんは札幌出身)。
──妹さんとは喧嘩もしますか?
山口:全然しますよ〜。ただ引きずることはなくて、どちらかが必ず謝る。そこで嫌味を言って、また喧嘩が始まることもありますけど(笑)。でも基本は「あ、ごめんね〜」「私も悪かった」と言える関係性ではあります。
どんなに離れても、いがみあっても関係性の基礎になる
──山口さんに妹さんとの仲のよさについて伺いたかったのは、法律家としての視点をお持ちだからです。それから「家族法」を専門としているとうかがいました。近年、本当にきょうだい間のトラブルはものすごく増えていますし、困っている人もいらっしゃるはず。何か解決案があればと思うのですが。
山口:法廷できょうだいが争う様子を見る機会もありますが、あれは辛い。親子の争いは、やっぱり親が譲るんですよ。子どもが可愛いから。夫婦に関しては愛がなくなったら、他人ですからね。決別することもできる。でもきょうだいになると、そうもいかない。
──きょうだいだと、配偶者やパートナーといった第三者が介入してくるケースが多いでしょうね。
山口:そうなんですよ。ただ私が思うのは、きょうだいは仲が悪くてもいいんじゃないかと。お互いに無関心になりきれないから、争うんですよね。
──「あ、きょうだいはこれが好きだったな、苦手だったな。ふーん、勝手にして」と思える。でもそれはお互いに関心がある証拠。自分に関心がある人は減っていきますもんね。
山口:例えば災害が発生すると、人は最初に「誰かに連絡しよう」と思って行動をします。でもひょっとしたら自分は、連絡を誰からももらえない人になるかもしれない。私はそういう恐怖感があります。人はこの思いを払拭するために、結婚という選択をするのではないかとも思うほどです。でもきょうだいという関係性があれば、仲が良くても悪くても、「あいつはどうしているんだろう」と、気にしてくれる可能性がある。気にせずにいようと思っても気になってならないのかもしれない。それだけでも無関心よりありがたいですよね。