(C)2018, SSVG EAST FUND INVESTMENT LIMITED (C)2018, “ANIMAGRAD” LTD © 2018, Ukrainian State Film Agency © 『ストールンプリンセス:キーウの王女とルスラン』製作委員会

ディマさんが演じるのは、主人公・ルスランのライバルとなる三兄弟の末っ子・ロデー(画像右) (C)2018, SSVG EAST FUND INVESTMENT LIMITED (C)2018, “ANIMAGRAD” LTD © 2018, Ukrainian State Film Agency © 『ストールンプリンセス:キーウの王女とルスラン』製作委員会

「演技で感情を出す時、日本語でやると自然だと感じる。ウクライナ語やロシア語でやるとなんか不自然になる気がする。人はそんなふうには喋らないよって思う。言い方が自然じゃないというか……そのへん、自分の中でも答えが出ないし、疑問に思ってはいるんですけど、日本語で演技をしていて楽しいのは、会話が自然に聞こえるから」

 プロとして日本語で初演技をした『ストールンプリンセス:キーウの王女とルスラン』の現場でのことも聞いてみよう。初めてのアテレコ、ドキドキしましたか?

「言葉にのまれました。どうすればいい? って思った場面があった」

 言葉に『のまれる』。ディマさんの表現は本当に豊かだ。何があったのだろう。 

「驚いているんだけど驚いてない感じを出してくださいって言われて、オーケーが出るまで時間がかかったセリフがありました。

 これは想像なんですけど、監督さんは『この外国人はどこまでやれるだろう』って思ったんだと思う。だからそういうリクエストを出してみたのかなって。自分としては、デビュー作だけどこの仕事で生き残れるか生き残れないかの死活問題だと感じた。結構悩みながら、一生懸命やりました。

 多分その問題をクリアできて、そこからは演出のリクエストもどんどん来るようになった。認めてもらえたかなと思って嬉しかったし、マイクの前で自分は本当に生き生きしているなと思った。声優の仕事が本当に好きだと思いました」

 自分が生き生きしていると感じた、と言うディマさんの日本語は本当に生き生きしている。貪欲に言葉をつかみ取り、獲得した言い回しをどんどん使う。ひとつの表現に固着せず、新しい言い方を試してみる。きっとディマさんはそれを面白いと感じるタイプなのだろう。

第4回に続く

【プロフィール】
工藤ディマ(くどう・ディマ)/2000年生まれ、ウクライナ・キーウ出身。2022年に家族と離れ単身で来日。公開中の映画『ストールンプリンセス:キーウの王女とルスラン』で主人公ルスランのライバルとなる三兄弟の末っ子、ロデー役で声優デビューを果たす。

◆取材・文 北村浩子(きたむら・ひろこ)/日本語教師、ライター。FMヨコハマにて20年以上ニュースを担当し、本紹介番組「books A to Z」では2千冊近くの作品を取り上げた。雑誌に書評や著者インタビューを多数寄稿。

関連記事

トピックス

悠仁さまの大学進学で複雑な心境の紀子さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、今年秋の園遊会に“最速デビュー”の可能性 紀子さまの「露出を増やしたい」との思いも影響か
女性セブン
グラビアのオファーも多いと言われる中川安奈アナ(本人のインスタグラムより)
《SNSで“インナーちらり笑”》元NHK中川安奈アナが森香澄の強力ライバルに あざとキャラと確かなアナウンス技術で「ポテンシャルは森香澄以上」との指摘
週刊ポスト
不倫が報じられた錦織圭、妻の観月あこ(Instagramより)
《錦織圭・モデル女性と不倫疑惑報道》反対を押し切って結婚した妻・観月あことの“最近の関係” 錦織は「産んでくれたお母さんに優しく接することを心がけましょう」発言も
NEWSポストセブン
お疲れのご様子の雅子さま(2025年、沖縄県那覇市。撮影/JMPA) 
雅子さまにささやかれる体調不安、沖縄訪問時にもお疲れの様子 愛子さまが“異変”を察知し、とっさに助け舟を出される場面も
女性セブン
新キャストとして登場して存在感を放つ妻夫木聡(時事通信フォト)
『あんぱん』で朝ドラ初出演・妻夫木聡は今田美桜の“兄貴分” 宝くじCMから始まった絆、プライベートで食事も
週刊ポスト
不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《美女モデルと不倫》妻・観月あこに「ブラックカード」を渡していた錦織圭が見せた“倹約不倫デート”「3000円のユニクロスウェットを着て駅前チェーン喫茶店で逢瀬」
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《永野芽郁に新展開》二人三脚の“イケメンマネージャー”が不倫疑惑騒動のなかで退所していた…ショックの永野は「海外でリフレッシュ」も“犯人探し”に着手
NEWSポストセブン
不倫が報じられた錦織圭、妻の元モデル・観月あこ(時事通信フォト/Instagramより)
《結婚写真を残しながら》錦織圭の不倫報道、猛反対された元モデル妻「観月あこ」との“苦難の6年交際”
NEWSポストセブン
“親友”との断絶が報じられた浅田真央(2019年)
《村上佳菜子と“断絶”報道》「親友といえど“損切り”した」と関係者…浅田真央がアイスショー『BEYOND』にかけた“熱い思い”と“過酷な舞台裏”
NEWSポストセブン
「松井監督」が意外なほど早く実現する可能性が浮上
【長嶋茂雄さんとの約束が果たされる日】「巨人・松井秀喜監督」早期実現の可能性 渡邉恒雄氏逝去、背番号55が空席…整いつつある状況
週刊ポスト
2人の間にはあるトラブルが起きていた
《浅田真央と村上佳菜子が断絶状態か》「ここまで色んな事があった」「人の悪口なんて絶対言わない」恒例の“誕生日ツーショット”が消えた日…インスタに残された意味深投稿
NEWSポストセブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン