『ブルバスター』の原作を手掛ける中尾浩之氏(撮影/槇野翔太)

『ブルバスター』の原作を手掛ける中尾浩之氏(撮影/槇野翔太)

始まりは窪之内英策と仕掛けたコンセプトブック

『ブルバスター』はそのコンセプトのみならず、プロジェクトの始まり方も特異だ。遡ること6年前の2017年、『ツルモク独身寮』や『ショコラ』などで知られる漫画家・窪之内英策と組んで、既存の映像作品がある体裁、つまり“フェイク”で先にコンセプトブックを制作してコミックマーケットなどでの頒布を開始したのだ。

「この企画自体は結構昔にやりたいと思って立ち上げていて、僕は実写の演出家なのでドラマや映画にしたいと思っていたんですけど、オリジナルで映画を撮るのは状況的に難しい。どこに企画を持ち込んでも、売れている原作がないとなかなか動かない。だったら先に“原作”を作っちゃおうと。

 それで窪之内さんに企画書を持って行ってキャラクターデザインをお願いできないかと。その中で、冗談半分にアニメがあると仮定して設定資料を先にまとめてコンセプトブックを作っちゃうのはどうですかみたいな話で盛り上がったんです。自主的にやったのでコミケに出したら、ニュースに取り上げてもらって、何社かから、『アニメ化決まってるんですか?』『原作どうなってるんですか?』みたいな問い合わせをいただいて、来た来た!と(笑)」

 その結果、2018年よりWEB小説サイト「カクヨム」で連載を開始し、小説としてKADOKAWAから出版(最新巻3巻が9月29日に発売された)。さらに2022年にはオーディオドラマ化。そしてアニメ化が発表されると、2023年からは「WEBラジオ」が開始されるなど、長期間にわたり段階を踏んで仕掛け続けることで、放送前からにわかに話題を呼んでいる。

「もちろん理想としてはいきなりアニメとか実写でバーンと行きたいんですけど、ギャンブルみたいなものだから大きな予算を集めるのは現実的じゃなくて、できることから始めていくことで小説やアニメの展開をご一緒できるパートナーが見つかったのかなと思います。アニメって決まってからも準備にすごく時間がかかるんですよ。12話の放送に合わせてストーリーを調整して、そこから映像になるまでたくさんのステップがあることを知りました。しかも、コロナ禍もありましたからね。それで止まった分が玉突き事故のように影響が出て想定よりも時間がかかりました。助走期間は長く取らざるを得ないので、逆にその期間にできることは何でもやりましたね」

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