【藤井聡太「八冠制覇」へ】写真特集・将棋カメラマンがとらえた「スター棋士の系譜」　温厚にして自然体「棋界の太陽」だった中原誠

　中原さんの「ライバル」と呼ばれた存在はたくさんいた。米長邦雄さん、加藤一二三さん、大内延介さん、森雞二さん……だが、実績では「棋界の太陽」として君臨したのが中原さんで、あとの棋士たちは「太陽系の惑星」のような存在だったと思う。将棋界の片隅で生きていた僕らは、燦然と輝く太陽の光の恩恵を受け、生きていくことができた。

　中原さんが最も輝きを放った時代、その姿を撮り、記録することができた。将棋カメラマンとして、改めてその幸福を噛みしめている。

※弦巻勝『将棋カメラマン　大山康晴から藤井聡太まで「名棋士の素顔」』より一部抜粋・再構成

【プロフィール】
弦巻勝（つるまき・まさる）／1949年、東京都生まれ。日本写真専門学校を卒業後、総合週刊誌のカメラマンに。1970年代から将棋界の撮影を始め、『近代将棋』『将棋世界』など将棋専門誌の撮影を担当する。大山康晴、升田幸三の時代から中原誠、米長邦雄、谷川浩司、羽生善治、そして藤井聡太まで、半世紀にわたってスター棋士たちを撮影した。“閉鎖的”だった将棋界の奥深くに入り込み、多くの棋士たちと交流。対局風景だけでなく、棋士たちのプライベートな素顔を写真に収めてきた。日本写真家協会会員。