貴乃花のようにはならない?

 所属する一門の調整を拒み、強引に出馬するというのは、2010年の理事選で「貴の乱」を起こした貴乃花親方と同じパターンだ。貴乃花親方は見事に当選したが、8年後に協会を追われるように退職した。

「今回の件は、まるで貴の乱の“白鵬版”のような話だから、波紋も広がった。5期目を狙う八角理事長(元横綱・北勝海)としても煙たい存在に違いありません。実際、白鵬を慕う若い親方衆やモンゴル出身の親方などは数多くいるし、元・高砂親方(元大関・朝潮)が亡くなったことで行動の制約がなくなったモンゴル出身の現・高砂親方(元関脇・朝赤龍)らの動向次第では、白鵬に票が流れたぶん、弱小の高砂一門から選出されている八角理事長の落選もあり得るという話で、脅威に捉えられていました」(前出・若手親方)

 11月場所は、場所中に各一門の一門会が開かれることで知られている。貴乃花が出馬を表明して二所ノ関一門を割るきっかけになったのも理事選前年の11月場所中の一門会だった。

 そこで11月場所5日目、打ち出し後に宮城野親方を直撃して出馬の意向を尋ねたところ、意外な答えが返ってきた。

「出ません」

 そう一言。問いを重ねても、「出ません」と繰り返した。一門が元大関・魁皇の浅香山親方を推すという方針に従うのかと聞くと、

「はい。そうです」

 と応じた。出馬を期待する親方も多いようだが、と水を向けても「ありがとうございます」とだけ答え、あとは無言だった。

「白鵬が断念したのであれば、“第2の貴乃花になるのは目に見えている”と、周囲から反対されたのではないか。現役時代の成績を見ても、いずれ理事、理事長になる人物でしょう。この判断で正解だと思います」(別の若手親方)

 理事選は3回連続で無投票になる見込みだ。宮城野親方がギリギリまで理事選出馬に意欲的だった内幕などについては、本誌・週刊ポストで報じていく。

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