ビジネス

鳥取県倉吉市が小田急のトレインビジョンに広告 「沿線外でも連携」の理由

国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれている倉吉白壁土蔵群(時事通信フォト)

国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれている倉吉白壁土蔵群(時事通信フォト)

 行政と民間企業が連携する場合、多くは自治体が抱える課題解決に直結する事業を行う企業、コンサルタントなどが選択されることが多い。ところが、鳥取県中部にある倉吉盆地を中心に広がる、白壁土蔵の街として知られる倉吉市は、首都圏の大手私鉄である小田急電鉄株式会社と2023年に包括連携協定を結んだ。市内にある鉄道駅はJR倉吉駅だけという倉吉市と、小田急とが手を結ぶことでお互いにどんな効果を期待しているのか。ライターの小川裕夫氏がレポートする。

 * * *
 10月30日から11月5日まで、小田急線車内に設置されたトレインビジョンで、鳥取県倉吉市のよさをPRする動画が流された。小田急は東京・新宿駅をターミナルに小田原や江ノ島といった神奈川県、多摩ニュータウンなどに路線網を有する。鳥取県倉吉市に小田急が電車を走らせているわけでもない。それにも関わらず、なぜ小田急車内のトレインビジョンで倉吉市のプロモーション動画が流れたのか?

「倉吉市と小田急は、2023年1月に包括連携協定を締結しています。その協定に基づき、小田急から倉吉市の地方創生を手伝う話があり、今回の動画制作が実現しました」と話すのは、倉吉市企画課の担当者だ。

倉吉市と小田急の人材交流

 倉吉市は人口が約4万4000人で、山陰地方では決して小さな都市ではない。しかし、市内には2015年に開学した鳥取看護大学があるものの、多くの若者が高校卒業と同時に市外へと流出する。

 もちろん、UターンやIターンなどで若者が戻ってくるケースもある。実際、今回の小田急との連携もUターンで地元に戻ってきた人によって取り組まれた施策だ。

 しかし、日本全体の人口が減少していくことを考えると、UターンやIターンに過度な期待を寄せることはできない、倉吉市そのものの魅力を高めて、多くの若者が倉吉に住みたい、倉吉で働きたいという気持ちを持つようにしなければならない。そのためにも、18歳以上が倉吉市で生活できるよう産業育成・雇用創出は欠かせない。

 人口減少の打開策を打たなければならないことは、誰もが頭では理解している。言うのは簡単だが、実際に産業を育ていることは簡単ではない。20年30年という長い歳月が必要になる。その間も少子高齢化は待ったなしで進行する。

関連記事

トピックス

日本のブライダルファッションの先駆け的存在、桂由美さん
《芸能人も多数着用》桂由美さんが生前嘆いていた「ナシ婚」 ウエディングドレスで「花嫁を美しく幸せにしたい」強い思い
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
小野寺さんが1日目に行った施術は―
【スキンブースター】皮下に注射で製剤を注入する施術。顔全体と首に「ジュベルック」、ほうれい線に「リジュラン」、額・目尻・頰に「ボトックス」を注入。【高周波・レーザー治療】「レガートⅡ」「フラクショナルレーザー」というマシンによる治療でたるみやしわを改善
韓国2泊3日「プチ整形&エステ旅行」【完結編】 挑戦した54才女性は「少なくとも10才は若返ったと思います!」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
日本人パートナーがフランスの有名雑誌『Le Point』で悲痛な告白(写真/アフロ)
【300億円の財産はどうなるのか】アラン・ドロンのお家騒動「子供たちが日本人パートナーを告発」「子供たちは“仲間割れ”」のカオス状態 仏国民は高い関心
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン