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好調続く『ブギウギ』、放送1か月半で確立?“感動の必勝パターン”とは

趣里

『ブギウギ』に主演する趣里

 趣里が歌手・笠置シヅ子さんをモデルにした女性を演じるNHK連続テレビ小説『ブギウギ』。放送開始から1か月半経ち、視聴者からも評判は上々だが、そこには“感動の必勝パターン”があるようだ。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 朝ドラ『ブギウギ』(NHK総合ほか)のスタートから全体の4分の1にあたる約1か月半が過ぎました。

 ここまで描かれた7週・35話の物語は、主人公の福来スズ子(趣里)が大阪の銭湯「はな湯」の看板娘として育ち、梅丸少女歌劇団に入団。その後、新たに旗揚げする梅丸楽劇団で活動するために後輩・秋山美月(伊原六花)と東京へ向かい、作曲家・羽鳥善一(草なぎ剛)との出会いから人気歌手になるまでの様子が描かれました。

 序盤から子役の熱演もあって好意的な声が多かったものの、ここ3週では「感動して涙が出た」「鳥肌が立った」「呼吸を忘れそうになった」など、その熱量は明らかに高くなっています。

 なぜここにきて視聴者の反応がワンランク上がり、感動の声があがっているのでしょうか。

人間ドラマを締めくくるステージ

 ドラマが視聴者を感動させるときは、いくつかの理由があるものですが、『ブギウギ』で最も決定的なのは、これまでに見たことのないような1週間の構成。「主人公・スズ子と家族、梅丸の関係者らの人間ドラマを月曜から金曜の終盤までじっくり見せて、最後に圧巻のステージで魅了する」という必勝パターンで視聴者を楽しませているのです。

 第5週では、スズ子が香川で出生の秘密を知ったあと、上京の誘いを受けたものの家族と離れることをためらっていましたが、尊敬する大和礼子(蒼井優)の急死をきっかけに決意を固めるまでの姿が描かれました。さらに3日(金)放送の25話は残り3分で、「秋山美月・福来スズ子退園公演『櫻乙女』」がスタート。大階段から降りてきたスズ子は桜吹雪が舞う中、約20名の団員との華やかなステージで魅了しました。

 第6週では、羽鳥による歌の稽古とジャズの難しさに悩んでいたスズ子が、猛練習によって徐々に上達していく姿が描かれました。さらに10日(金)放送の30話は残り8分で、梅丸楽劇団の旗揚げ公演『スウィング・タイム』がスタート。秋山美月と中山(小栗基裕)らのタップダンスショーに続いて、残り6分でスズ子が「ラッパと娘」を歌い、約3分にわたるフルコーラスのパフォーマンスで観客を総立ちにさせました。

 第7週では、スズ子の演出家・松永大星(新納慎也)への初恋と失恋、ライバル会社への移籍騒動が描かれました。さらに17日(金)放送の35話は残り4分で、スズ子による「センチメンタル・ダイナ」のステージがスタート。大阪に戻る後輩・秋山の姿に重ね合わせながら、約3分にわたるフルコースのパフォーマンスで再び観客を熱狂させました。

 スズ子のリズミカルでパンチの効いた歌声と、ステージを駆け回る躍動感豊かなダンス。鮮やかなドレスと舞台映えする派手なメイクなども含めて、そのステージは「5日間かけて描いてきた人間ドラマを締めくくる感動的なエンディング曲」のような意味合いを感じさせられるのです。

スタッフの決断力と主演・趣里の奮闘

 これほど視聴者を感動させているのは、単なるドラマのワンシーンではなく、「本物の歌と本物のステージ」というレベルまで高めているから。ステージのシーンは、実際に劇場の客席で見ているような没入感があり、それこそが他の作品にはない『ブギウギ』の魅力なのでしょう。「バドジズデジドダ」「ダイナ」などの口ずさみたくなるフレーズとメロディも含めて、戦前の曲とは思えない洗練された歌とステージが、スズ子たちの人間ドラマを引き立てています。

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