専門家が選ぶヘルシーカップ麺の要注意添加物
大西さんはリン酸塩の大量摂取によって心臓病のリスクが上がると警鐘を鳴らす。
「リンの血中濃度が高くなると動脈硬化や心臓発作、脳卒中などの心血管疾患のリスクが高まるとされています。さらに恐ろしいのはリン酸塩によって老化が早められ、死が近づくことです。実際、米ハーバード大学のマウスを使った動物実験では、遺伝子操作によって血中のリンの濃度を高めたマウスは通常の寿命が2年のところ、9週間で死亡しました。
さらに、そのマウスは皮膚や生殖器、筋肉の萎縮のほか肺気腫や骨異常、全身の血管の石灰化など、人間でみられるあらゆる老化現象が顕著に表れていました。逆にそれらのマウスに遺伝子操作や食事療法をほどこして血中のリンの濃度を正常にすると、老化やそれに伴う病気がほとんど改善しました」(大西さん)
どれだけ糖質が減ったかわからない
カップ麺そのものに伴う危険性に加え、あろうことか“ヘルシー”を謳うがための改良があだとなり、別のマイナス要素が生じているというケースも少なからずある。望月さんが問題点を指摘するのは低糖質の商品だ。
「糖質の吸収を抑えるために食物繊維が豊富で小麦粉の代替品としても使われている『サイリウム種皮粉末』や血糖値の上昇を抑えたり、腸内環境を改善させる『難消化性デキストリン』が含まれています。たしかにダイエットや血糖値コントロールに一定の効果が期待できるものの、過剰摂取により食物繊維過多になり、便通のトラブルを招く可能性が大いにある」
垣田さんも注意を促す。
「難消化性デキストリンは血糖値を下げますが摂取しすぎると低血糖になり、ふらつきやけいれんを引き起こします。
また『低糖質』の表示には法律の基準がないので、何と比べてどれくらい低くなっているのか不明です。極端にいえば通常のカップ麺よりも糖質が1gでも少なければ“低糖質”とキャッチコピーを打つことができる。それを確認せず、ただ『低糖質』だからといって食べすぎれば、糖質の過剰摂取につながりかねません。低糖質の商品は実際に何グラムの糖質が含まれているか、確認した方がいいです」
実際、同じ製造元で通常品とヘルシーカップ麺の成分表示を比べると記載方法が異なり、どれだけ糖質が減ったのかわからない商品があった。さらに気がかりなのは別の低糖質カップ麺などを通常品と比較した際、「スクラロース」や「アセスルファムK」などといった人工甘味料が追加されていたことだ。
「人工甘味料は砂糖の数百倍の甘さを持つゆえ、少ない使用量で充分な甘さを確保できるとして、多くの『ゼロカロリー』や『糖質オフ』と謳う商品に使われますが、実際は逆効果であり、さらにさまざまな疾患のリスクが上がるとされている。
普通の糖よりも糖尿病リスクが高い研究結果や腸内の善玉菌が減少するというデータがあるうえ、WHO(世界保健機関)も人工甘味料の継続摂取は2型糖尿病や心血管疾患、死亡リスクを20〜30%高める可能性があるとして使用を控えるよう呼びかけるほど危険な成分が入っているヘルシーカップ麺もあるのです」(大西さん)
ほかにも低糖質商品の中に「ベニコウジ色素」が使われているものがあった。これはベニコウジカビから抽出した色素で、ラットに5%含む餌を13週間食べさせた実験において、腎臓の組織の一部に壊死が確認されている。