国内

《国際ロマンス詐欺》ガーナを拠点に4億円騙し取った“60歳主犯格男”が獄中告白「私は報酬を受け取っていない」

2022年8月、日本に強制送還された森川光被告

2022年8月、日本に強制送還された森川光被告

 ネット上で出会った相手に“愛の言葉”を囁き、大金を騙し取る「国際ロマンス詐欺」──その犯行に手を染め、約4億円を騙し取ったグループの“主犯格”として、ガーナで逮捕された日本人がいる。ノンフィクションライターの水谷竹秀氏が追った。【前後編の前編。後編を読む

「なぜ警察発表を信じるのか」

 大阪拘置所の面会室に現われた男はパジャマ姿で、病的なほど色白だった。目の下はたるみ、口を開くと前歯がなかった。

「はじめまして。送っていただいた手紙は読みました。いつも公判にも来てますよね」

 アクリル板越しにそう語った男は、森川光被告(60)だ。国際ロマンス詐欺に関与したとして西アフリカ・ガーナの首都アクラで拘束され、昨年8月、日本へ強制送還された。詐欺罪などで起訴され、現在、大阪地裁で審理が続いている。

 報道によると、森川はガーナを拠点とする犯行グループの“主犯格”として、日本人男女ら65人から総額約3.9億円を騙し取ったとされる。このグループにいて逮捕された日本人男性は、森川を含め8人ほど。現地にいるガーナ人も8人加担しており、ガーナ側の主犯格で“ブルー・コフィ”の異名を持つナナ・コフィ・ボアテイン(34)は米国へ逃亡中だ。

 日本人とガーナ人による謎の国際犯罪組織──。私は今年6月に『ルポ 国際ロマンス詐欺』(小学館新書)を上梓し、ロマンス詐欺犯がナイジェリアやガーナなどの西アフリカを拠点に暗躍している実態を書いた。その取材時に森川の逮捕が報じられたため、“主犯格”である森川と接見すれば、犯行の実像に迫れるのではないかと思ったのだ。

 だが、今年5月に初めて面会した森川は、報じられた「3.9億円」という莫大な金額の割に身なりがみすぼらしく、大阪府警が公開手配した時のごつい顔写真とは異なり、げっそりしていた。

「ガーナで体重が20キロぐらい落ちました」

 そう語る森川は果たして、ガーナの組織でどのような役割を担い、いかなる手口で大金を騙し取ったのか。疑問をぶつけようとしたが、森川はこう言ったのだ。

「私は“主犯格”などではありません。なぜ警察発表を信じるのですか」

「メディアには4億と書かれていますが、実際には1億もいってないし、私は報酬を受け取っていません」

 自分の都合の良いように語っているだけかもしれないが、それでも森川の発言には戸惑いを隠せなかった。彼は本当に犯行の実態を知らないのか。

関連記事

トピックス

ポジティブキャラだが涙もろい一面も
【独立から4年】手越祐也が語る涙の理由「一度離れた人も絶対にわかってくれる」「芸能界を変えていくことはずっと抱いてきた目標です」
女性セブン
大谷のサプライズに驚く少年(ドジャース公式Xより)
《元同僚の賭博疑惑も影響なし?》大谷翔平、真美子夫人との“始球式秘話”で好感度爆上がり “夫婦共演”待望論高まる
NEWSポストセブン
木本慎之介
【全文公開】西城秀樹さんの長男・木本慎之介、歌手デビューへの決意 サッカー選手の夢を諦めて音楽の道へ「パパの歌い方をめちゃくちゃ研究しています」
女性セブン
綾瀬はるかが結婚に言及
綾瀬はるか 名著『愛するということ』を読み直し、「結婚って何なんでしょうね…」と呟く 思わぬ言葉に周囲ざわつく
女性セブン
強く、優しく、凜とした母を演じる石田ゆり子(写真/NHK提供)
《『虎に翼』で母親役を好演》石田ゆり子、プロデューサーや共演者が驚いた“愛される力”「ストレスかかる現場でも動じない人」
週刊ポスト
羽生結弦のライバルであるチェンが衝撃論文
《羽生結弦の永遠のライバル》ネイサン・チェンが衝撃の卒業論文 題材は羽生と同じくフィギュアスケートでも視点は正反対
女性セブン
中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
中森明菜
中森明菜、6年半の沈黙を破るファンイベントは「1公演7万8430円」 会場として有力視されるジャズクラブは近藤真彦と因縁
女性セブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
昨年9月にはマスクを外した素顔を公開
【恩讐を越えて…】KEIKO、裏切りを重ねた元夫・小室哲哉にラジオで突然の“ラブコール” globe再始動に膨らむ期待
女性セブン
17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン