弔問に訪れた鶴竜親方(代表撮影)
借株が横行する実態
この関係者によれば、表向き相撲協会では借株が禁止されているが、現実的には多くの借株が存在する。なかには、先々代の未亡人が権利を持っている年寄名跡さえあるという。そのため近い将来に空き株を手に入れられる目途が立っていれば、借株による延命という裏技も可能なのだという。しかし、錣山部屋は二所ノ関一門で、陸奥部屋は時津風一門。なぜ一門をまたいだ裏技が使えるのか。
「錣山部屋はもともと時津風一門だったが、2010年の『貴の乱』をきっかけに貴乃花一門に転籍した。その後、貴乃花親方が退職に追い込まれたことで一門が解体され、錣山部屋は二所ノ関一門に所属することになった。
『錣山』を継承した豊真将と鶴竜は同じ一門の力士として時津風部屋などで連日稽古をした仲。鶴竜の手が合う親方のひとりで、阿炎も横綱時代の鶴竜には稽古で強くしてもらった恩義がある。このような方向で話し合いが進むのではないか」(前出・時津風一門関係者)
実績がある力士が簡単に協会に残ることができない。これも1400年の歴史を受け継ぐ大相撲の伝統なのだろうか。