東京・江東区の錣山部屋で葬儀・告別式が行なわれた(代表撮影)
複雑な椅子取りゲーム
時津風一門関係者によれば、「閉鎖の危機にある陸奥部屋の今後に、元関脇・寺尾が亡くなったことが大きく関係してくる」という。どういうことか。
「立田川親方が『錣山』を襲名することで空き株になる『立田川』は、将来的に錣山部屋の現役力士・阿炎が継承する予定とされるが、阿炎はまだ29歳。引退するまで時間がある。そこで、鶴竜が一時的に『立田川』を継承するかたちになるのではないか。そのうえで鶴竜が、来年4月で65歳になる元大関・初代霧島の『陸奥』と年寄名跡を交換して部屋を継承するわけです。
交換により『立田川』を襲名した初代霧島は再雇用制度で参与として協会に残り、3年後に70歳となる部屋付きの立田山親方(元前頭・薩洲洋)の退職を待てばいい。初代霧島は部屋の後継者に現役大関の二代目霧島を指名しているので、二代目霧島が引退したら『陸奥』を襲名することになる。
その時は鶴竜が空き株となった『立田山』を襲名して、二代目霧島と名跡交換する。二代目霧島が陸奥部屋を継ぎ、鶴竜も部屋で育てた力士を連れて“立田山部屋”を興せばいいという筋書きです」
複雑怪奇な椅子取りゲームとなってくるが、要は年寄名跡が足りない状況の陸奥部屋に、錣山部屋から「立田川」が流れてくれば、延命の可能性が出てくるということだ。このシナリオは錣山部屋で「立田川」を継ぐとみられる阿炎が、あと何年現役を続けられるかによっても変わってくる。
「阿炎があと5年間現役を続けられるなら、初代霧島が70歳で退職した後に『立田川』を戻してもらって継承すればいい。陸奥部屋では、二代目霧島が『陸奥』、鶴竜が『立田山』を継げる状況になっている。
阿炎が3年後に引退するなら、ちょうど立田山親方が70歳で退職となるので、阿炎が一時的に『立田山』を襲名する。陸奥部屋は初代霧島が『立田川』、鶴竜が『陸奥』という状況で、その2年後に初代霧島が退職したら阿炎が『立田川』を襲名できる。阿炎が3年以内の引退となる場合、鶴竜が現・立田山親方に参与の残り給与分を上積みして譲渡料を支払うことになるでしょう」(前出・時津風一門関係者)