相澤:安倍さんは地盤が盤石で資金も豊富だから、選挙の心配はいりません。裏金も票もいらないから、“施す人”として加計学園や桜を見る会で自分と親しいお友達をすごく大切にした。
統一教会でも安倍派の仲間に票を差配しました。半面、自分に都合の悪いことが起こると、「俺は関係ない」と言い張って人のせいにする。森友学園事件がまさにそんな展開でした。
エイト:仰る通りで、安倍さんは空っぽの人なのでいろいろな人が入りやすかったのでしょう。しかも「お仲間利権意識」が強く、身内が得をすることばかり行なう一方で、自分に従わない有権者を「あんな人たち」と呼び、国民を分断しました。
相澤:本来なら一国の首相は国民全体を守るべきですが、安倍さんは味方と敵をはっきりと分けるところがある。お友達に利益を与えて敵とみなした相手と徹底的に戦った。それも安倍政治の大きな特徴でした。
「共依存」のような関係
相澤:私が問題だと思うのは、安倍さんが総理になって何がやりたいのか最後までわからなかったことです。ほとんど前に進まなかった憲法改正はどこまで本気だったのか疑わしく、韓国を拠点とし反日的な教義を持つ統一教会に接近するのは右派として信条に反している。
安倍さんには確固たる思想信条があるのではなく、その場その場で支持勢力に受ける右派的な主張をして、拍手喝采されていただけではないか。世間に流れるイメージと実態が乖離し、主張がちぐはぐで首尾一貫せず、政治的な軸があったとは思えません。
エイト:中身ががらんどうだったとしても、周囲から持て囃された稀有な政治家でした。
相澤:彼が憲政史上最長の政権を築くことができたのは、周りの議員や取り巻きが安倍さんを神輿として担ぎ上げたからです。お友達にサービス満点の安倍さんは、自民党にとって非常に収まりがよかったのでしょう。
お互いが持ちつ持たれつで「共依存」のような関係だったから、安倍さんの死後に様々な問題が噴出しても、議員は自分たちが担いだ神輿を悪く言えません。