確かなアカウントを証明するはずの「認証バッジ」もあてにならない。アカウント取引サイトで販売される認証バッジや数十万のフォロワーがついたSNSアカウント(イメージ、時事通信フォト)

確かなアカウントを証明するはずの「認証バッジ」もあてにならない。アカウント取引サイトで販売される認証バッジや数十万のフォロワーがついたSNSアカウント(イメージ、時事通信フォト)

「詳しい同僚に見てもらうと、他の出会い系アプリやサイトにもガンガンいいねを押していることが分かりました。まるで、出会いに飢えているみたいだねと同僚と話した記憶があります。おおっぴらに話題にしていたわけではないのですが、上司の奥さんは同じ系列店で働いていたこともあって、噂があっという間に耳に入ったらしく上司を問い詰めたそうです。すると、マッチングサイトで出会った何人もの女性と不倫を繰り返していたことが発覚。社内でも問題になり、上司はすぐ僻地に飛ばされましたが、居心地が悪くなったのか退社し、その後、離婚したそうです」(佐々木さん)

 まさか「いいね」から何もかもが詳らかにされると考えていなかった上司は、社内で「憧れの立場」から、既婚者のくせに出会いを求め続ける「キモいおっさん」に成り下がってしまった。

よく調べないまま相互フォロー

 SNSをきっかけに、隠したかった異性関係や性癖がバレてしまうという事例は、想像以上に多いようだ。千葉県在住の元私立大学講師・岩永勇太さん(仮名・40代)が、悔やんでも悔やみきれない過去を振り返る。

「Xを利用していたのですが、ある時期、女性ユーザーからたくさんの相互フォロー申請が来るようになりました。Xには専攻分野である教育系の投稿を主におこなっていて、そうした投稿に賛同してくれる方々だと思って、特に深く確かめずに受け入れていました。あと、私は未婚ですので、良い出会いもあるのではないかとちょっと期待してしまいました」(岩永さん)

 ところが、SNSに詳しい学生たちから「先生のXのフォローは、女性成り済ましの詐欺アカウントばかり」と指摘された。最初は「そんなことはない」と意地を張っていたが、それらのアカウントは若い女性の写真が使われ、スリーサイズが書いてあったり、中にはプロフィール欄に「体の関係を持ちたい」などと書かれているものもあり、怪しげでも「万一」に期待していた自分の思惑が、学生たちに筒抜けになっていたのだ。

「私の行動はすぐ大学側に知られ、しばらくは在籍できると思っていたのに、翌年で契約を終了させられました。学生や同僚の先生たちからも馬鹿にされ、逃げるように大学を後にしましたが、今考えても顔から火が出る思いです」(岩永さん)

 隠しているつもりでも隠しきれていなかったり、また第三者に恥ずかしいことを発見・発掘されてしまうのも、SNSを利用するリスクといえる。たとえアカウントを非公開にしていたり、ほとんど情報を上げていないと思っても、誰かが必ずチェックしているのだと思って利用しないと、ふと気がついた時には、取り返しのつかない状況に追い込まれてしまうのである。

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