二階氏の三男で全日本空輸の元社員という経歴を持つのが伸康氏(右上)
それぞれ置き手紙を残したが、反応があったのは、翌19日午前、手紙に気づいた事務所スタッフから連絡を受けたという伸康氏のメールだった。
「現下の事案について、世間をお騒がせしている状況につきまして、深くお詫び申し上げます。(略)私自身が本日は上京しており、お訪ねいただきながらご対応が出来ない事、申し訳なく思います」
検察の処分発表後の19日夜、二階氏は会見で「派閥が何か悪いことしたり金をごまかしたりしたわけでも何でもないんだもん」と強気な言葉を口にして見せた。派閥解消の決断も、「人はまた集まってくる」という不敵な余裕にすら見える。実際、岸田・麻生・茂木派の主流三派の連合が瓦解したことで、非主流派に甘んじてきた二階氏が反転攻勢のきっかけつかんだようにも見える。
会見の最後、笑みさえうかべて見せた二階氏の視線には、後継者である息子たちの脅威となりえた世耕氏のつまずきも、はっきりと映っていたに違いない。
◆取材・文/広野真嗣(ノンフィクション作家)