岸田首相「祝う会」政治資金規正法違反疑惑の構図
これは現在、派閥パーティーの問題で問われている裏金疑惑と類似するものだ。
「記載するべきものをあえて記載せず、それが裏金になった疑いがあるわけです。岸田首相は、『政治の信頼回復に向けて私自身が先頭に立つ』と言っていますが、当人は自身のパーティーの問題に関して何ら説明責任すら果たしていません。こうしたことを知った以上、告発しないわけにはいかないと考えて踏み切った、ということです」(上脇教授)
上脇氏の告発状には、「告発事実」がこう記載されている。
〈「岸田文雄後援会」の事実上の代表である被告発人岸田文雄は、 同名目上の代表者である被告発人A、 同会計責任者である被告発人B、同事務担当者であるC(故人)及び同事務職員であるX(氏名不詳)と共謀の上、真実は、2022年6月12日(日)午後1時から「リーガロイヤルホテル広島」(広島市中区基町6-78)「ロイヤルホール」「クリスタルホール」で開催する「岸田文雄内閣総理大臣就任を祝う会」が「岸田文雄後援会」の主催する政治資金パーティーであったのに、その収益の一部を裏金にするために、主催者を「広島県経済関係団体自治体合同任意団体発起人11名」と偽り、~(中略)~参加者1人あたり1万円の会費を約1100名から徴収して計1100万円(推定)の収入があり、かつ、その経費として少なくとも340万円(推定)の支出があり、また、「祝う会」の収益760万円の一部である321万5167円を2022年9月12日に「自由民主党広島県第一選挙区支部」(以下「県第一選挙区支部」という)に対し寄附金として支出したにもかかわらず、 「岸田文雄後援会」の2022年分収支報告書を作成する際に、 上記「祝う会」収入額1100万円、上記「祝う会」支出額340万円、上記321万5167円寄附金支出を、収入欄と支出欄にそれぞれ一切記載せず、 かつ、「本年の収入額」「収入総額」「支出総額」につき上記の分だけそれぞれ過少に虚偽記入し、 2023年5月29日に同収支報告書を広島県選挙管理委員会(以下「県選管」という)に提出したものである(要旨。被告発人A、B、Cは実名)
そのうえで、岸田首相らの政治資金法違反の罪名及び罰条が8項目にわたって理由とともに詳細に指摘されている。
安倍派の裏金事件は、しんぶん赤旗の報道をきっかけに上脇氏が違反行為を法的に分析して告発状を出し、検察の捜査につながった。
今回の本誌報道をもとにした上脇氏の告発で、検察が捜査に動き、行政のトップである岸田首相の違反行為の立件につながらなければ、「政治とカネ」の問題の真の改革などできないはずだ。