国内

東日本大震災から13年 「奇跡の一本松」など定点撮影から見えてくる復興への歩み

左写真が2024年2月14日、右写真が2012年2月18日の「奇跡の一本松」

左写真が2024年2月14日、右写真が2012年2月18日の「奇跡の一本松」

 東日本大震災から13年。「週刊ポスト」はこれまで被災地を定点撮影することで、復興の歩みを伝えてきた。復興行政の遅々として進まぬ現状を目の当たりにしつつも、その一方で、故郷を立て直そうと奮闘する人々が作りあげてきた風景は力強く変わった。

 岩手県陸前高田市の広田湾に面した場所はかつて、日本百景にも指定される「高田松原」と呼ばれる景勝地だった。ところが、2011年3月11日の東日本大震災による津波の直撃を受け、約7万本あった松の木ほとんどがなぎ倒された。そんななか、松原の西端にある一本だけが立ったままの状態で残り「奇跡の一本松」と呼ばれた。定点撮影の場所のひとつには、この場所を選んだ。

 2012年2月18日に撮影した「奇跡の一本松」は、震災から約1年を経て復興の象徴になった。枯れてきた一本松に毎週車で何時間もかけて「甦りの水」を運ぶ人の姿も見られたが、津波の影響で長時間、水に浸かっていたことや土壌の塩分濃度が高くなっていたことなどから生きた状態で一本松を保存することはできなくなっていた。

 そして2015年2月11日撮影の「奇跡の一本松」は、一度枯れた後に幹を防腐処理し、枝葉をレプリカで2013年に復元したもの。一本松の背後には、最大12メートルに及ぶ陸前高田市の嵩上げのため巨大なベルトコンベアが設置されたのが見える。

 震災から13年が経とうとする2024年2月14日撮影の「奇跡の一本松」は、2021年に全面供用が開始された高田松原津波復興祈念公園のなかにある。背後にある建物は、一本松と共に震災遺構となった、被災した当時のままのユースホステルだ。

 一本松以外の定点撮影の場所も紹介しよう。能登半島地震から2か月。北陸の被災地が立ち直るにはまだ長い時間がかかるかもしれないが、着実に前へ進んできた東北から、未来への希望を見出せるのではないか。

関連記事

トピックス

手指のこわばりなど体調不安を抱えられている(5月、奈良県奈良市
美智子さま「皇位継承問題に口出し」報道の波紋 女性皇族を巡る議論に水を差す結果に雅子さまは静かにお怒りか
女性セブン
ちあきなおみ、デビュー55周年で全シングル&アルバム楽曲がサブスク解禁 元マネジャー「ファンの声が彼女の心を動かした」
ちあきなおみ、デビュー55周年で全シングル&アルバム楽曲がサブスク解禁 元マネジャー「ファンの声が彼女の心を動かした」
女性セブン
『EXPO 2025 大阪・関西万博』のプロデューサーも務める小橋賢児さん
《人気絶頂で姿を消した俳優・小橋賢児の現在》「すべてが嘘のように感じて」“新聞配達”“彼女からの三行半”引きこもり生活でわかったこと
NEWSポストセブン
「マッコリお兄さん」というあだ名だった瀬川容疑者
《川口・タクシー運転手銃撃》68歳容疑者のあだ名は「マッコリお兄さん」韓国パブで“豪遊”も恐れられていた「凶暴な性格」
NEWSポストセブン
自転車の違反走行の取締りはたびたび実施されてきた。警察官に警告を受ける男性。2011年(イメージ、時事通信フォト)
「青切符」導入決定で自転車取締りが強化 歓迎の声がある一方で「ママチャリで車道は怖い」
NEWSポストセブン
民主党政権交代直後の政権で官房長官を務めた平野博文氏
【「年間約12億円」官房機密費の謎】平野博文・元官房長官 民主党政権でも使途が公開できなかった理由「自分なりに使い道の検証ができなかった」
週刊ポスト
NEWS7から姿を消した川崎アナ
《局内結婚報道も》NHK“エース候補”女子アナが「ニュース7」から姿を消した真相「社内トラブルで心が折れた」夫婦揃って“番組降板”の理由
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【厳戒態勢】「組長がついた餅を我先に口に」「樽酒は愛知の有名蔵元」六代目山口組機関紙でわかった「ハイブランド餅つき」の全容
NEWSポストセブン
今シーズンから4人体制に
《ロコ・ソラーレの功労者メンバーが電撃脱退》五輪メダル獲得に貢献のカーリング娘がチームを去った背景
NEWSポストセブン
菅原一秀(首相官邸公式サイトより)と岡安弥生(セント・フォース公式サイトより)
《室井佑月はタワマンから家賃5万円ボロビルに》「政治家の妻になると仕事が激減する」で菅原一秀前議員と結婚した岡安弥生アナはどうなる?
NEWSポストセブン
真美子夫人とデコピンが観戦するためか
大谷翔平、巨額契約に盛り込まれた「ドジャースタジアムのスイートルーム1室確保」の条件、真美子夫人とデコピンが観戦するためか
女性セブン
(写真/PIXTA)
【脳卒中】“最善のリハビリ”のために必要なこと「時間との勝負」「急性期病院から回復期病院へのスームズな移行」
女性セブン