「鹿児島→北海道→茨城→北海道→甲子園」という長い旅路
野球部は2月に鹿児島で合宿を行い、対外試合が解禁となる3月に入ってからは茨城県で練習試合を重ねた。寺尾氏が続ける。
「一度の遠征につき、1000万円を想定し、合計2000万円。もちろん、そこまでの金額は実際にはかからないと思いますが、予算を組む上では上限を決める必要がありました」
遠征には16人の選手と3人のマネージャーが参加し、島影監督や教員、外部コーチに加え、3月1日に卒業する3年生も練習の補助で帯同できたのは別海町の援助があったからこそだ。野球部は鹿児島にウエイトトレーニングの器具も持ち込み、急ピッチでコンディションを整えていった。
2月16日から26日まで鹿児島で合宿し、その後に札幌、別海と移動し、茨城で練習を重ねたあと再び別海に戻って3月9日に甲子園に出発するという長い旅路をナインは進んできた。
「後援会と話し合うと、だいたい甲子園の遠征費が5000万円ほどかかるということだった。そのうち、半分を町が負担とするという考えで、2500万円の助成が決まり、寄付金の総額は計5000万円となりました。町にとって明るい話題を提供してくれた野球部。別海の町民のみなさんが応援しています。甲子園で暴れ回ってほしいです」(寺尾氏)
別海町より物心両面で手厚い、異例のサポートを受け、別海高校の19人の部員は甲子園の黒土に立つ。
◆取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)