「消えた558万円」疑惑の構図
カネの移動を辿らせない
奇妙な一致がある。岸田派が報告書を訂正した6日後の1月24日、岸田派前会長の古賀誠・元自民党幹事長が代表を務める政治団体「古賀誠筑後誠山会」が政治資金収支報告書を訂正した。
理由は記載漏れで、過去3年分遡って「収入総額」と「翌年への繰越額」「前年からの繰越額」が558万円多かったと上方修正したのだ。
こちらは、“実際は政治団体にカネが多く入っていた”という訂正だが、元会計責任者の略式起訴前に岸田派から558万円の裏金が忽然と消え、略式起訴後に古賀氏の政治団体でカネが見つかった。金額も一致する。偶然にしてはできすぎている。
この訂正当時、地元紙の取材に古賀氏の事務所は、〈派閥からのキックバック(還流)が含まれているかどうかを尋ねたところ、担当者は「それも含めてお答えできない。事務的ミスだった」と説明した〉(西日本新聞1月27日付)と報じられた。
怪しいのは、岸田首相がその後、この裏金について説明を変えたことだ。
前述のように、岸田首相は1月29日の衆院予算委員会では3059万円が「全額派閥の口座に残っていた」と断言したのに、2月29日の衆院政治倫理審査会で日本維新の会の藤田文武・幹事長から「不記載だった3059万円はぴったり残っていたのか」と質問されると、こう答えた。
「(政治資金収支報告書を)修正した金額に合う形で口座に残っていたと報告を受けている」
政治資金収支報告書の訂正内容とのつじつまを合わせたのだろう。