劇症型溶血性レンサ球菌感染症の患者数
主な治療は抗生物質ペニシリンの大量投与だが、膝まで感染が広がっている場合は血液中にも多量の菌が回っていることが予想され、感染拡大予防のために脚の切断が必要な症例も多い。
このような症状に陥ると本人や家族は感染から数時間で脚の切断を決断しなければいけなくなる。というのも分単位、時間単位で病気が進む上に、感染が股関節まで到達した場合は切断が難しくなるので、躊躇すると命取りになってしまうからだ。
「劇症型を発症するのは70代以降の高齢者で、子供が劇症型になることはほぼなく、その理由はわかっていません。注意したいのは足が腫れて熱が出る病気は数多くあるため、診断は難しいのですが、とにかく40℃以上の高熱が出て、腫れの広がるスピードも速い場合は、すぐに病院に向かってください」(菊池教授)
予防は全ての感染症に共通の手洗いの励行だ。加えて足からの感染が多い事例を踏まえ、打撲などの外傷を避け、水虫治療をするなどフットケアを行なうのも重要となる。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2024年4月5日号
菊池賢・東京女子医科大学病院感染症科教授