いろんなことを考えて皆生きている。好楽77歳、小遊三77歳、高田75歳である。私が20歳の頃だからもう55年も前、私と田島(のちの右朝)、左談次、志ん五らは飲むと夜中勝手に九蔵(当時は正蔵の弟子で前座)の家に行き勝手に飲んで勝手に寝ちゃってた。朝になると九蔵の母親がメシを用意してくれてて「ハイこれ食べて大学でも寄席でも行きな」。人柄だけが素晴しい九蔵家(こんにちの好楽)であった。
そうだ、木久扇がこの3月いっぱいで『笑点』卒業だ。86歳。出演55年。小さな子供たちからも「黄色いおバカさん」と親しまれている。「師匠、座右の銘は?」ときけばひと言「入金」。ラーメン屋はまだまだ頑張るらしい。最初は漫画家になりたかった。こうみえてもチャキチャキの江戸っ子。60年、三代目三木助(「芝浜」で有名)その死後八代目正蔵(のちの彦六)門下。息子に木久蔵をゆずり、今は木久扇。究極の「バカ道」を進むみんなの「いやんばか~ん」である。
※週刊ポスト2024年4月5日号