完璧でえらい親はやめよう

 先ほどの食卓の場面では、どんなふうになるでしょうか。まず一方的に「ダメ」と決めつけることはしません。かわりに、「食べ物の色や触感が楽しいのかな」「好奇心を満たしたいんだな」と、子どもの行動を理解しようとします。そして「遊びたいんだね。いろんな形や色があるから、楽しいのかな」と共感した上で、「ママは困っちゃうな。ゆとりとか感謝することを大切にしたいから、この時間にぜんぶ食べて欲しいけど、どうかな?」などと、子どもも自分も同じように大切にするコミュニケーションをするでしょう。

 ここで、子どもが食べるか食べないか、その結果が大事なのではありません。親が頭ごなしに決めつけないこと、子どもも自分が認められていると感じることが大事なのです。親子関係のみならず、学校現場や職場など、今の社会システムや教育においても、パワーオーバーがまかり通っています。パワーオーバーから、パワーウィズのシフトには、最初は戸惑いを感じるはずです。自分が持っているはずだった権力を手放し、ほかの人と力をわかち合 うことは、怖さを伴うことでもあるでしょう。だからこそNVCの考え方は、革新的です。

 私は、パワーウィズを意識するようになってから、子どもとの関係性が大きく変化しました。子どもの立場に沿って物事を観察できるようになり、子どもへの理解が増し、お互いの信頼感やつながりも深まりました。

 私の母には「甘すぎるんじゃない? もっとしつけないとダメよ」と言われたりもします。でも子どもの思い通りにさせたり、甘やかしたり、放任したりするわけではありません。「私も大切。そしてあなたも同じぐらい大切だよ」という姿勢で向き合うのです。

 いつもいい親、全てを知っているえらそうな親を演じていると、義務感や役割にしばられて、窮屈だし、疲れてしまいます。完璧な人、完璧な親なんて、いなくて当たり前。正解も、どこかから借りてきたもっともらしい道徳やモラルも、いりません。それよりもみんなが等しく持っている生きる力を信じて、広い心で子どもを見守る。そんな環境で育った子どもこそ、安心感の中で、自分の命や才能を花開かせていくと信じています。

※『親と子どもが心でつながる「キリン語」の子育て NVC非暴力コミュニケーションワークブック』より、一部抜粋・再構成

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