そんなある日、頭痛で受診すると“すぐに大きな病院を受診してください”と言われ、軽い脳梗塞を起こしていたことがわかった。私の顔がいつもよりゆがんでいて、話し方も違っていたことで気がついたそうです。前の医師だったら、見逃していたと思います」
臨機応変な対応ができてこそ名医といえるだろう。その点、かたくなに処方を守ろうとする医師は危険だと医療ジャーナリストの村上和巳さんが指摘する。
「生活習慣病や不眠症など一般的な病気の多くには、治療で選べる薬が複数あります。本来は、効果や副作用などを見極めながら状態に応じて医師が選択すべきですが、自分が使い慣れた薬をひたすら使おうとする医師はいます。患者が副作用を訴えても、理由もなく使い続けるような場合は病院を替えた方がいい」
新薬ほど効果があると思うが、必ずしもそうではない。「新薬を出したがる医師には理由をよく聞いた方がいい」と岡田さんは言う。
「新薬には発表されたばかりでまだ周知されていない副作用が出るリスクがあるので、できるだけ避けるべき。しかし、製薬会社の売り込みに影響され、一面的な効果だけで処方する医師は少なくない」
村上さんは自身が医療機関を選ぶ際、ある薬の処方を試金石としているという。
「風邪のような症状でかかったときに、安易に抗菌薬を処方する医師なら、次は別の医療機関に行きます。というのも、風邪の原因はウイルスですが、抗菌薬は細菌感染に対して使う薬。のみすぎると耐性菌を作る原因にもなり、いざ感染症にかかったときに薬が効きづらくなる。ただし、風邪のように見えて細菌感染のこともあるので、理由を聞いて納得できる説明があるなら問題ありません」
院長の顔が見えない病院は信頼できない
あなたがいま通っている「病院」「主治医」に、これまで見てきた特徴が当てはまっていたらすぐに替えることを検討してほしい。次の病院を選ぶ際、同じ轍を踏まないために押さえておくべきポイントがある。
医療経済ジャーナリストの室井一辰さんは院長の顔が見えるかどうかを確認するべきとアドバイスする。
「代表者である院長がホームページなどに自分の写真を出して診療にあたる病院は、責任をもって医療に取り組んでいるといえる。翻って言えばトップの顔が見えない病院は、不測の事態が生じたときに医師の説明責任が果たされるか疑問です」(室井さん)