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【へき地医療の医師に転身】香山リカさんインタビュー「母が話していた『60代は人生でいちばんいい時期』はその通りだと思う」

香山リカさん/『61歳で大学教授やめて、北海道で「へき地の お医者さん」はじめました』

『61歳で大学教授やめて、北海道で「へき地の お医者さん」はじめました』を上梓した香山リカさんにインタビュー

【著者インタビュー】香山リカさん/『61歳で大学教授やめて、北海道で「へき地の お医者さん」はじめました』/集英社クリエイティブ/1760円

【本の内容】
 現在、北海道勇払郡むかわ町の診療所で働き、週末には東京に戻る2拠点生活を送る香山リカさん。この春でそんな生活も3年目に突入している。「いまさら」「どうせ私なんて」と思ってしまいがちな年代に、香山さんは精神科医と大学教員の二足のわらじをはく生活から一転、へき地医療という未知の世界へ足を踏み入れた。

《なぜ私は、50代も後半戦に入ってから「へき地で医者をやってみたい」と思うようになり、何年もかけて準備をしたのだろう。そして、なぜそれを実行に移す場として、この穂別を選んだのだろう。/自分でももう一度、振り返って考えてみたい》(「はじめに」)。新しい世界へと足を踏み出す勇気を与えてくれる一冊。

自分にツッコミを入れながら、日々、悪戦苦闘

 精神科医で、文筆家・大学教授としても活動してきた香山リカさんが、60代になって北海道で「へき地のお医者さん」になった。なぜへき地医療にかかわるようになったのか、香山さんの新刊は、自分のこれまでを振り返る自伝的な本である。

 北海道勇払郡の「むかわ町国民健康保険穂別診療所」が香山さんのいまの職場。ゴールデンウイークの間も交代で当直勤務をしているという香山さんに、オンラインで取材させてもらった。

「私はいつも、その時々に何かを思いついて行動する、まあ行き当たりばったりな感じでやってきたんですけど、むかわ町に来て、どうして私はいまここにたどり着いたのか振り返ってみたくて書いた本です。そう言えば私は子どものときは科学者になりたかったんだとか、いろんな記憶がよみがえりましたね」

 香山さんは医学部を卒業しているが、精神科の臨床経験しかない。診療所の医師は内科も外科もすべて診るため、大学の研究休暇などを利用して、母校の総合診療科で改めて勉強した。

 車の運転が苦手で、運転免許も失効させていた。へき地で暮らすには車の運転は必要条件で、教習所に通って免許を再取得し、ペーパードライバー講習も受けた。

 本を読んで感じることだが、40年近く医師の仕事をしてきた香山さんなのに、専門家然とせず、考え方がやわらかい。事件や人との出会い、いろんなことにショックを受け、自分を見直し、何ができるか考えることができるのが不思議でもある。

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