溜席の観客の衣装も様々
印象に残る着物は、次になかなか着られない
九州場所では、向正面の控え行司のすぐ右隣で、毎日違う色の鮮やかな着物で15日間皆勤する「溜席の着物美人」も注目を集める。溜席の着物美人は国技館にも姿を見せており、アラブ衣装の男性が目撃されたのと同じ12日目には、西花道に面したマス席に姿があった。
この日は、水面に見える波頭を白と黒で幾何学的に文様化した着物に、オレンジ系の鮮やかな色の帯で観戦。国技館で開催される本場所では、西花道に面したこの席がお馴染みで、西支度部屋から土俵に向かう力士を声援で送り出し、相撲を終えて花道を引き揚げてくる力士には身を乗り出して拍手を送る姿がNHKの大相撲中継で映っていた。
品を感じさせる着物姿で土俵の盛り上がりに花を添える溜席の着物美人に話を聞くと、「(この日の着物は)雅楽の『青海波』の装束に使われていた古くからある柄で、永続を意味する波模様が染付けられて縁起がいいんです。呼び出しさんや周りのお客さんからも“いい柄ですね”と褒められました」と話した。この着物美人の知人によると「両国国技館での本場所に合わせて2~3枚の着物を新調するそうです。ただ、印象に残る着物はなかなか次に着られないという悩みがあるといいます」とのことだった。
毎日違う着物で登場することが好角家の間でも話題になるだけあって、それに伴う悩みもあるようだ。“アラブの石油王”のような衣装で観戦する男性がいることについて聞くと、溜席の着物美人は「九州場所の時にいらっしゃっていたのは拝見したことがあります」とするのみだった。
九州場所の溜席で観戦することが多いというある関係者は、「あのアラブの衣装の男性は、中東から来られたのかと思ったら、根っからの日本人とのこと。ドバイへ旅行に行った時のお土産で買ってきたとかで、相撲観戦はいつもあの衣装で来るそうです。国技館で観戦されていた方と同じ方かはわかりませんが」と話した。
観戦する人の服装は様々で、コスプレのような観客も出てきているということか。土俵上の盛り上がりとともに、その周囲への注目度も高まっているようだ。