ライフ

【新刊】コロナ禍に50歳の壁が重なった大変な記録、青山ゆみこ氏『元気じゃないけど、悪くない』など4冊

50の手前でぽきんと折れた心と体。自分でケアする道を探った3年間の記録

50の手前でぽきんと折れた心と体。自分でケアする道を探った3年間の記録

 そろそろ長雨の季節。じめじめどんよりした日は気分まで憂鬱になりがちだが、読書で気分転換してみてはいかがだろう。おすすめの新刊を紹介する。

『元気じゃないけど、悪くない』/青山ゆみこ/ミシマ社/2090円
 コロナ禍に50歳の壁が重なった大変な記録。運動で痩せ、好きなお酒も断って健康になったかと思いきや、ある日躁状態に。動悸や体の揺れに苦しみ不安障害も。家事を手放し(夫が全面協力)、物書きの仕事も一時棚上げ、さまざまなセルフケアを試みる。メンタルケアの方はカタカナが多いので本文に譲るが、ホルモン補充療法や運動の効果はてきめん。とても参考になる。

子息3人が高校や大学に集中した時期は大越家も借金を(異次元の少子化対策で思うこと)

子息3人が高校や大学に集中した時期は大越家も借金を(異次元の少子化対策で思うこと)

『ニュースのあとがき』/大越健介/小学館/1870円
 報道ステーションのHPに週1でアップする「大越健介の報ステ後記」。2021年初登板の日から自民党裏金問題が発覚した2023年末までを集める。テレビってお行儀いいなと思ったのは故人の盟友政治家へのインタビュー。「無粋だから聞かなかった」とはさすが映像媒体(活字は逆)。戦争、旧統一教会、五輪汚職など大きなニュースに混じり愛猫や母堂の俳句などの話題にほっこり。

清少納言と酒井さんはちょうど千歳違い。平安と現代を結ぶ「あるある」のセンス

清少納言と酒井さんはちょうど千歳違い。平安と現代を結ぶ「あるある」のセンス

『枕草子』/酒井順子訳/河出文庫/上下巻各880円
 橋本治の桃尻語訳で『枕草子』に開眼した者としては「春はあけぼの」がどう訳されているか興味津々。桃尻語の「春って曙よ!」に対し、酒井訳は「春は、夜明けが好き」と、抑えめの成熟トーン。「心ときめきするもの」「すさまじきもの」など、ものづくしと呼ばれる部分などはセンスのいい友人とガールズトークをしている気分に。酒井さんと清少納言はソウルメイトみたいだ。

「7年前のことでも裁判は可能です」そんな一言から生まれた家族の希望の物語

「7年前のことでも裁判は可能です」そんな一言から生まれた家族の希望の物語

『小説8050』/林真理子/新潮文庫/935円
 引きこもって7年の翔太。歯科医の大澤正樹と節子夫妻が御曹司と婚約した長女にせき立てられ、ようやく息子と向き合おうとすると、翔太は激高して叫ぶ。「オレは復讐したいんだよ!」。初めて息子の芯に触れた正樹はいじめっ子を特定、裁判を起こすが—。家族の恥部、狂乱と破壊、冷える夫婦仲、破談の危機などを乗り越え、貫徹した父と息子の裁判の旅はちょっと感動的。

文/温水ゆかり

※女性セブン2024年6月6日号

関連記事

トピックス

どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト