打席に入る際、ホームベース上のごみを取る大谷翔平。2023年7月(時事通信フォト)
記事によると米メディアは大谷選手のゴミを拾うという行為に着目。大谷選手にとって他人のゴミを拾うのは幸運を呼ぶようなもので、それが自分の目標達成に役に立つと信じている」と分析。グラウンドでさりげなくゴミを拾っていた大谷選手の姿は大きな話題になった。その行動は「ゴミは人が落とした運、「ゴミを拾うことで運を拾う。そして自分自身にツキを呼ぶ」という恩師の教えであったことは、彼が高校生の時に作成したという曼荼羅チャートとともに、今や有名な話だ。
チャートの中の運と書かれたマスの上には、”ゴミ拾い”とキレイな字で書かれているように、大谷選手は善行が運をもたらすと信じ、それによって徳を積んでどんな偉業もクリアできるのでは、と記事は書いている。徳を積むと運がたまる、増えるような気がするというのは世界共通の捉え方のようで、ある心理学者がこのような徳や運に対する捉え方を「運資源ビリーフ」と名付けている。運資源ビリーフでは運が貯金やポイントのようにためるもの、増える資源と考えられている。大谷選手の中にも運資源ビリーフという考え方があるのだろう。
研究によると運資源ビリーフを持つ人物は、致命的な損失を被らないようリスク回避を選択しやすいという。水原被告からの借金の肩代わりを即座に退け、代理人らに連絡した大谷選手の行動はまさにそうだ。運をためれば幸運につながると信じているが、それは自分で呼びこむもの、運に左右されるのではなく、自分次第でコントロールできるものと考えているのだろう。
また運資源ビリーフを持つ人は、ルーレットで赤ばかりが続いたので、次は黒が出るはずと過去の事象の発生頻度に影響される「ギャンブラー錯誤」のようこともないという。負けがこんで「次こそ勝てる、勝つはずだ」などと根拠のない期待をすることもない。水原被告はギャンブラー錯誤に陥っていたのだろう。
運資源ビリーフを持つ者と持たざる者、大谷選手と水原被告の分かれ道はそこだったのかもしれない。