国内

大谷昭宏氏“在阪メディアのあり方”に抱く危機感「維新批判はタブー視され、ヨイショばかりの風潮が大阪に蔓延っている」

在阪メディアのあり方に危機感を抱くジャーナリストの大谷昭宏氏(写真/共同通信社)

在阪メディアのあり方に危機感を抱くジャーナリストの大谷昭宏氏(写真/共同通信社)

 55年ぶりの万博開催まで1年を切った大阪。東京に次ぐ“ニッポン第二の経済圏”の中心地で今、何が起きているのか──。かつて読売新聞大阪本社の社会部記者として数々のスクープを放ったジャーナリストの大谷昭宏氏は、在阪メディアのあり方に危機感を抱いている。

「4月に小林製薬の紅麹問題で読売大阪本社の社会部記者が取材先コメントを捏造した件では、『(小林製薬を)懲らしめてやる』という意識が垣間見えた。メディアが自らを“権力側の人間”だと勘違いしているのではないでしょうか。そう思わせる出来事がとりわけ在阪メディアで目立ちます」

 2021年末、読売新聞大阪本社が大阪府と地域行政全般について包括連携協定を結び、「府の情報発信への協力」が盛り込まれた。

 またMBS(毎日放送)は2022年の元日特番に日本維新の会の吉村洋文・大阪府知事、松井一郎・大阪市長(当時)、橋下徹氏の3人を揃ってゲスト出演させ、「政治的公平性」をめぐり問題となった。

「私が話を聞いたMBS社員は『外から言われるまで気が付かなかった』と言っていました。権力を監視する役割を担う自覚がない証拠です」

 一方で歴史を振り返ると、大阪にはたしかな“批判精神”が根付いていたはずだという。

「『天下の台所』と言われた江戸時代、大阪の人口の大半は町人でした。大阪商人は権力者たる武士に対して、『稼げんくせに威張る』『困るとカネ借りにくる』とまで言える在野の批判精神があった。

 しかし、東京一極集中の流れのなか、商人の街・大阪の企業力は失われ、自ら稼げなくなりました。結果、“政治頼み”がメディアを含む企業に浸透してしまったんです。維新批判はタブー視され、ヨイショばかりの風潮が大阪に蔓延っています」

 大谷氏は、「大阪人に、しぶといポテンシャルが残っていることはたしか」とも言う。

「メディアが健全な批判精神を取り戻すことが、“政治に頼らない大阪”をもう一度構築する第一歩になるはずです」

※週刊ポスト2024年6月21日号

関連記事

トピックス

女優・遠野なぎこ(45)の自宅マンションで身元不明の遺体が見つかってから2週間が経とうとしている(Instagram/ブログより)
《遠野なぎこ宅で遺体発見》“特殊清掃のリアル”を専門家が明かす 自宅はエアコンがついておらず、昼間は40℃近くに…「熱中症で死亡した場合は大変です」
NEWSポストセブン
俳優やMCなど幅広い活躍をみせる松下奈緒
《相葉雅紀がトイレに入っていたら“ゴンゴンゴン”…》松下奈緒、共演者たちが明かした意外な素顔 MC、俳優として幅広い活躍ぶり、174cmの高身長も“強み”に
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
ロッカールームの写真が公開された(時事通信フォト)
「かわいらしいグミ」「透明の白いボックス」大谷翔平が公開したロッカールームに映り込んでいた“ふたつの異物”の正体
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン