国内

吉村洋文・大阪府知事が「ライドシェア大幅緩和」を主張で「かえって渋滞を深刻化させる」リスク 派手な改革を求めるほどに際立つ「空疎さ」

吉村洋文・大阪府知事の政策の本質とは(時事通信フォト)

吉村洋文・大阪府知事の改革はどこへ向かうのか(時事通信フォト)

 2023年の大阪府知事選で70%超の得票率で当選した吉村洋文・知事には、メディアを通じた歯切れの良い発言で“改革派”のイメージが強い。そこに実態は伴っているのか。ノンフィクション作家・広野真嗣氏が追った。

 * * *
 5月31日、吉村知事は「“期限を定めない検討”って何なんですか」と、吐き捨てるように言った。その前日、自家用車を使って客を運ぶ「ライドシェア(RS)」の全面解禁の判断を先送りした政府をこきおろしたのである。

 政府は4月以降、東京都や大阪府などの主要都市で地域と時間を限定した「日本版RS」を解禁したが、吉村氏は「極めて不十分」と批判し、返す刀で大阪万博期間中の大幅な緩和を要求する。

 だが、この吉村氏の主張には、「派手な“改革”に飛びつくが、国民の切実な課題は後回し」という姿勢が端的に現われてはいないか──。

 日本国際博覧会協会(以下、万博協会)は、2025年4月の開幕から184日間で、延べ2820万人の来場を見込む。最大で1日22.7万人が足を運ぶという。東京ディズニーリゾートの1日平均の来場者8万9000人(過去最多の2018年)の3倍近い数字だ。

“そんなに来るのか”というのが率直な感想だが、府の局長経験者は「見込み通りだと輸送がパンクしかねない」と話した。

「本来、輸送を牽引するのは鉄道ですが、万博開催までに会場の夢洲につながるのは、東西を結ぶ大阪メトロ中央線1本だけ。梅田に直結してないから不便だし、通勤と重なる時間帯に大量の乗り換えが生じる。客だけやなしに、数万人の万博スタッフも運ぶわけで、えらい混雑になる」

 JRや京阪電鉄にも夢洲延伸案はあるが、IR実現を見極めているのか進んでいない。前出・府の局長経験者が続ける。

「中央線の増便や主要駅からのシャトルバスが頼りですが、水上交通や自転車ルートも打ち出して、もう必死ですわ」

 そんななか吉村氏が横山英幸・大阪市長とともにRS推進をぶち上げたのは昨年10月のこと。小泉進次郎・元環境相らに協力を求めつつ、次のような主張を明らかにした。

〈1日あたり最大で約2300台のタクシーが足りなくなる。解消のためRSを府内全域で24時間運行可能にすべき〉

 在阪メディアは吉村氏の政府への対抗姿勢を好意的に報じるが、中身を吟味すると、いくつもの疑問が湧く。

関連記事

トピックス

大谷の母・加代子さん(左)と妻・真美子さん(右)
《真美子さんの“スマホ機種”に注目》大谷翔平が信頼する新妻の「母・加代子さんと同じ金銭感覚」
NEWSポストセブン
トルコ国籍で日本で育ったクルド人、ハスギュル・アッバス被告(SNSより)
【女子中学生と12歳少女に性的暴行】「俺の女もヤられた。あいつだけは許さない…」 執行猶予判決後に再び少女への性犯罪で逮捕・公判中のクルド人・ハスギュル・アッバス被告(21)の蛮行の数々
NEWSポストセブン
二階俊博・元幹事長の三男・伸康氏が不倫していることがわかった(時事通信フォト)
【スクープ】二階俊博・元自民党幹事長の三男・伸康氏が年下30代女性と不倫旅行 直撃に「お付き合いさせていただいている」と認める
NEWSポストセブン
雅子さまにとっての新たな1年が始まった(2024年12月、東京・千代田区。写真/宮内庁提供)
《雅子さま、誕生日文書の遅延が常態化》“丁寧すぎる”姿勢が裏目に 混乱を放置している周囲の責任も
女性セブン
M-1王者であり、今春に2度目の上方漫才大賞を受賞したお笑いコンビ・笑い飯(撮影/山口京和)
【「笑い飯」インタビュー】2度目の上方漫才大賞は「一応、ねらってはいた」 西田幸治は50歳になり「歯が3本なくなりました」
NEWSポストセブン
司忍組長も姿を見せた事始め式に密着した
《山口組「事始め」に異変》緊迫の恒例行事で「高山若頭の姿見えない…!」館内からは女性の声が聞こえ…納会では恒例のカラオケ大会も
NEWSポストセブン
浩子被告の顔写真すら報じられていない
田村瑠奈被告(30)が抱えていた“身体改造”願望「スネークタンにしたい」「タトゥーを入れたい」母親の困惑【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
「好きな女性アナウンサーランキング2024」でTBS初の1位に輝いた田村真子アナ(田村真子のInstagramより)
《好きな女性アナにランクイン》田村真子、江藤愛の2トップに若手も続々成長!なぜTBS女性アナは令和に躍進したのか
NEWSポストセブン
筑波大学・生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格したことがわかった悠仁さま(時事通信フォト)
《筑波大キャンパスに早くも異変》悠仁さま推薦合格、学生宿舎の「大規模なリニューアル計画」が進行中
NEWSポストセブン
『世界の果てまでイッテQ!』に「ヴィンテージ武井」として出演していた芸人の武井俊祐さん
《消えた『イッテQ』芸人が告白》「数年間は番組を見られなかった」手越復帰に涙した理由、引退覚悟のオーディションで掴んだ“準レギュラー”
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン