スポーツ

議論を呼んだW杯2014ブラジル大会開幕戦の「PK判定」 主審を務めた西村雄一氏が「今も後悔なし」と断言できる理由

ブラジルのエース・ネイマールに毅然とした態度でイエローカードを提示する西村主審(2014年W杯開幕戦。時事通信フォト)

ブラジルのエース・ネイマールに毅然とした態度でイエローカードを提示する西村主審(2014年W杯開幕戦。時事通信フォト)

 2010年のサッカーW杯南アフリカ大会では4試合で主審を務め、2014年のブラジル大会では日本人として初めて開幕戦の主審を務めた西村雄一氏。的確なレフェリングは各国の賞賛を受けたが、ブラジル大会の開幕戦(ブラジル・クロアチア戦)で下したPK判定は、試合後もクロアチア側からの猛批判を浴びた。しかし、西村氏は現在も「後悔していない」と言う。スポーツを長年取材する鵜飼克郎氏が聞いた。(全7回の第6回。文中敬称略)

 * * *
 サッカーでは反スポーツ的行為や遅延行為、チャンスが期待されるような局面を妨害する反則などがあればイエローカード(警告)が提示され、著しく不正なファウルや乱暴な行為、相手の得点や得点の機会が阻止される反則などではレッドカード(退場)が掲示される。プレーヤーが1人減るレッドカードは言うまでもないが、たとえイエローカードでもディフェンダーが激しいコンタクトを躊躇うようになるので、チーム戦術に制約が生じかねない。

 ゲーム展開を一変させる判定であるが、競技規則にはカードの対象になるかどうかの個別具体的な記述はなく、やはり主審の主観に委ねられている。それゆえに「1試合平均で何枚のイエローカードを出したか」が、選手やファンからのその主審に対する評価に?がることもある(「枚数が多い主審は悪い」という意味ではない)。サッカー中継やテレビのスポーツニュースで主審が大映しになるのは、大概が「カードを示すシーン」である。

 主審がクローズアップされる「カード」について、数々の国際試合で笛を吹いてきた西村雄一はやや意外な見解を口にした。

「カードの枚数が多い選手は“悪い選手”と見られる傾向がありますが、必ずしもそうではありません。与えられたポジションの役割やゲーム展開によっては、チームを救うための“覚悟のイエローカード”もあるわけです。

 例えば、コーナーキックをクリアされてカウンター攻撃を受ける場面で、自チームのディフェンダーが相手ゴール前に上がっていて守備側が数的不利な状況であれば、ファールを冒してでも止めるしかないというプレー選択が予測できます。この“カード覚悟のプレー”でファウルがあれば主審は当然イエローカードを示します。こうした展開が起き得ることはボールをクリアされた時から両チームの選手も理解しているので、イエローカードを示したとしてもどの選手も納得してくれます。

 選手が選択するプレーを“評価”するようなことを言うのは好ましくないのかもしれませんが、選手のプレーには必ず理由がある。それもまたサッカーの本質の一部。サポーターにはそういうところまで見てもらえると、サッカーの楽しみ方が広がると思います」

関連記事

トピックス

林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
「パー子さんがいきなりドアをドンドンと…」“命からがら逃げてきた”林家ペー&パー子夫妻の隣人が明かす“緊迫の火災現場”「パー子さんはペーさんと救急車で運ばれた」
NEWSポストセブン
豊昇龍
5連勝した豊昇龍の横綱土俵入りに異変 三つ揃いの化粧まわしで太刀持ち・平戸海だけ揃っていなかった 「ゲン担ぎの世界だけにその日の結果が心配だった」と関係者
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン