河合候補とMIU
「警視庁は『東京都迷惑防止条例違反』で注意したということですが、すると公職選挙法では禁じられていないポスターを条例で規制してよいのか、すなわち条例が法律の範囲を超えて制約していいのかという問題になります。
まず、憲法21条1項の表現の自由により、ひわいなポスターであっても憲法による保障を受けます。一方で、ひわいな表現については、一定の時・所・方法の規制を受けます。たとえば“成人向けの本はここで販売してはいけない”というような規制です。もっとも本件は選挙における表現の自由ですから、通常の表現規制と同様に考えてよいのかは疑問が残ります。
憲法第94条では、地方公共団体は〈法律の範囲内で条例を制定することができる〉と定めています。もちろん条例による法律を規制が一切許されないわけではなく、別の目的によるときは、法律の目的や効果を阻害しない範囲であれば条例で規制することもできます。
公職選挙法では、その目的を定めた第1条で〈選挙が選挙人の自由に表明せる意思によつて公明且つ適正に行われることを確保し、もつて民主政治の健全な発達を期することを目的とする〉と記されています。これを都の条例で規制できるとすると、果たして〈公明且つ適正〉といえるかどうかが問題となるでしょう」
選挙における表現の自由という、一言では済ませられない問題。確かにポスターには「表現の自由への規制はやめろ。」と記されていたが、あっさり警察の注意に応じて剥がしたところから見ても、同氏がXで「俺の300種類の仰天ポスターが街中に貼られることで東京の街は地獄と化す」と記していたところから見ても、その狙いは推して知るべしだ。