芸能

演芸ライブの募集チラシが縁でトラック運転手から俳優の道へ進んだ阿部サダヲ

「向かうところ敵なし」の阿部サダヲ(イラスト/佐野文二郎)

高田氏が阿部サダヲとの関係を綴る(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、向かうところ敵なしの阿部サダヲについて綴る。

 * * *
 出版不況だというのに私だけ機嫌がいい。滅多に聞かない「増刷」の言葉。6月6日に発売した(何度も書いてすいません)『月刊Takada 芸能笑学部 丸ごと一冊高田文夫』が発売翌日には「増刷決定しました」の連絡。55年も“マスコミ商売”していればテレビで視聴率、ラジオで聴取率、出版だったら売り上げ部数というのが気になって当然。数字がいいに越した事はない。

 そこへニコニコやってきた「向かうところ手品師」……いやっ元へ……「向かうところ敵なし」の阿部サダヲ。なんたってコンプライアンス問題に真っ向から挑んでいった『不適切にもほどがある!』が大評判の内にEND。他のラジオ・テレビに出てもニヤニヤしてるだけであまり喋らない男だが、私の前に来ると喋る喋る。往年のおすぎとピーコかと思った。

「チョメチョメにまた光を当ててくれて有難うな。クドカンにも阿部クンにも感謝してるよ」。あのチョメチョメは山城新伍の造語で『アイ・アイゲーム』の問題となっている「××」の伏せ字を「チョメチョメ」と言ったところから来ている。それが男女のナニを指すようになり『不適切』で大復活したのだ。毎回たくさんの問題を用意する「××問題」を考えていたのが若き日の私なのだ。

「年頃の娘がいるけどチョメチョメは大丈夫だった?」ときけば「毎週楽しみにオンタイムで喜んで見てました」だと。心配してたがホッ。作者のクドカンのところにもお嬢さんがいるが「チョメチョメ」が流れると少し沈黙が流れたようだ。

 私の『ラジオビバリー昼ズ』(ニッポン放送)が35周年。「人生で感謝してる人は?」と問えば、阿部「この番組がスタートした頃、トラックの運転手やってまして、いつも昼に聞いてて、こんな明るい社会もあるんだなと。高田センセーにはいつも憧れてました。

『M-1』よりずっと前に“高田杯争奪OWARAIゴールドラッシュ”をやったでしょ。あれに出たくて……浅草キッドとか立川ボーイズ(談春と志らく)、江頭2:50、松村邦洋。吹越満さんは役者なのに“ロボコップ演芸”やってて、それで吹越さんのライブ行ったら“大人計画”の募集のチラシが入ってて、行ってみたら宮藤さんと松尾スズキさんに出会えたんです。生涯で感謝する人は2位が高田センセーで、1位が大人計画と松尾スズキさんかな」

 その少し前、クドカンは私になりたくて「日芸」に入ったが友達もできず、早めにアパートへ帰っては私のラジオだけをじっと聞いていた。35年前の各々の青春である。

※週刊ポスト2024年6月28日・7月5日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト