時折じっと考え込む姿も
警察官は扉をドンドンと叩いて、 『開けねえわけにいかねえかな』と思ってね。鍵を開けると、警察官が入ってきた。『妹さんから安否確認の電話が入っているから電話してください』って。 節子を手前のベッドで寝かしていたから、警察官に『起こしてください』って言われて、『起きません』って言ったんだよね」
こう話すと、吉田さんはメガネを外した。目尻には涙が見える。体は小刻みに震えていた。
「もう起きませんからって」
節子さんの遺体は、仰向けで手を組みタオルのハンカチを持った状態で、両脇にも綺麗なタオルが置かれていた。寝るときにはタオルがないとダメたった生前の節子さんを思い、吉田さんがそうしていたのだという。
「警察が来てからは、覚えているような、覚えてないような……。警察に連れて行かれて、取り調べを受けたなっていうのは覚えてるけども、何喋ったのか覚えてないんだよね。検事の取り調べで警察にこうやって言ったんでしょって言われても、言った覚えもあるようなないような」
昨年10月に逮捕された吉田さんの身柄は、11月に東京拘置所に移され、今年5月に保釈されていた。そして6月に行われた裁判で吉田さんは事実関係をすべて認めた上で、以下のようなことを被告人質問で話していた。