スポーツ

来日したシリア難民プロレスラーの夢「いつかアレッポでプロレス興行を開催したい」

ジョージ・コーカス選手

来日したシリア出身のジョージ・コーカス選手

 長きにわたる内戦に苦しめられた国であり、今も様々な火種がくすぶっているシリア。国から逃れ、難民となった男性がプロレスラーになり、ヨーロッパでの活躍を経て日本にやってきた。現在九州プロレスに参戦しているジョージ・コーカス選手(31)である。シリア・プロレス・戦争について聞いた。

──子供時代のことを教えてください。そしてシリアの内戦がジョージ選手に与えた影響、いかにシリアから脱出してヨーロッパに行ったのかも含めて。

「私は1993年2月10日にシリアのアレッポで生まれました。姉がいて、普通の子供時代を過ごしましたが、両親にとってはあまり好みの息子ではなかったと思います。7歳ぐらいの時、たまたまプロレスの映像をビデオテープで見たのですが、そこで私はプロレスにゾッコンになりました。

 両親にもっとビデオテープを見せてほしいとお願いしたのですが、拒否されました。というのも、プロレスを子供が見ることは暴力を肯定することに繋がると両親は考えたのです。

 そこから時は過ぎ、12歳の時、私は学校を辞め、女性を対象としたヘアドレッサーになりました。こうしているうちに私が描いていた未来が来ました。18歳になった時、パスポートを取得し、アメリカに行こうとしたのです。なぜアメリカかといえば、プロレスはアメリカにしか存在しないと思っていたからです。

 しかし、この頃、シリアでは戦争がありました。多くの人々は、それまで描いていた人生を変えなくてはいけなくなりました。私もそうです。そんなこともありアメリカ行きは断念し、2013年初頭、20歳だった私はアレッポから離れ、ISIS(イスラム国)の支配下にある場所を避けてトルコへ行きました。

 そこからアルメニアに移動したのですが、数日後、アルメニアには仕事がないことが分かり、お金もないため、トルコのイスタンブールへ行ったのです。この時私はお金もないし、ツテもないし、言語も分からない……。そんな状態でした。

 キツい状況でしたが私はなんとか仕事を見つけ、最低限のお金は稼ぎました。そこから約2年トルコで働き、EUのビザを取ろうとしたのです。しかし、拒否されました。こんな経験を経た末、2016年初頭、私は違法ではあるもののゴムボートに乗ってトルコからギリシャに行くことを決めました。

 27日間のボートの旅でアテネに着き、その後北マケドニア、セルビア、クロアチア、スロベニア、オーストリア、そして最終的にドイツに到着し、私のプロレスラーとしてのキャリアが始まったのです」

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン