ビジネス

【東京・日本橋浜町 レコードコンビニYショップ上総屋】DJイベントも開催!江戸らしい街で創業90年の老舗酒屋が営む新スタイルの角打ち

 都営新宿線・浜町駅から徒歩4分、『レコードコンビニYショップ上総屋(かずさや)』は、東京・日本橋の地で創業90年を誇る酒屋の3代目・進藤康隆さん(50歳)が営む他にはないスタイルの店だ。コンビニエンスストアの店内では、中古レコードも販売。週末には、DJイベントを開催するというのだ。

週末はDJイベントが開催される異色のコンビニエンスストアだ

週末はDJイベントが開催される異色のコンビニエンスストアだ

 同じく日本橋は水天宮近くで生まれ育ち、ずっとこの街を見つめてきた康隆さんの母であり、2代目の妻・祺子(やすこ)さん(79歳)が、「この辺は、明治座があって、昔っから落語家やマジシャン、舞踊や詩吟の師匠などが住まう街。芸者さんの置屋もあってね、とても江戸らしい場所なのよ。でも、時代の流れとともに様変わりしてきたわね」と話すように、街の変化と共に、酒屋としての営業スタイルも変わってきた。

 今でも日中は店に立つ2代目の敏雄さん(88歳)が、店の変遷を教えてくれた。

右から2代目・進藤敏雄さんと妻の祺子さん、3代目の康隆さん

右から2代目・進藤敏雄さんと妻の祺子さん、3代目の康隆さん

 屋号の『上総屋』は祖先が上総湊(かずさみなと・千葉県)の出身であることに由来する。初代が、細川藩の下屋敷があったこの地にやってきたのは昭和6年ごろ。そして昭和9年に、酒屋として商いを始めたのだという。

「私が子供のころは、ここ浜町はその地名の通り遠浅の海を埋め立てた場所で、葦が生えていましたよ。そんな中で最初から量り売りで角打ちをやっていたようです」(敏雄さん)

 その後、戦火が忍び寄り、東京大空襲で店は焼けてしまったが、初代は隅田川を使って千葉から木材を舟で運びバラックを建てた。

「父は、統制下で酒がない中、上総の蔵まで行って、一升瓶をリュックサックに入るだけ運んでいました。そんなことをしながら、どうにかこうにか復旧したんだよねえ」と敏雄さんは、戦中・戦後の混乱期を振り返る。「でも、しんどいだの苦しいだのいう言葉はひとつもなかったけどね」。

 そして、今から25年前の1999年、康隆さんが3代目を継ぐことになり、酒屋からコンビニへ転身を図ることになる。

 康隆さんは無類の音楽好き。「コンビニとして営業しているうちに、店番をしながら、レジ横に置いたレコードプレイヤーで、コレクションしているレコードをかけるようになったんです」(康隆さん)

 そのうち、レコードがかかっているコンビ二として、それを目当てに店にやって来る客が増えてきた。

「やがて、レコードジャケットを店内に飾り、古物商の免許を取って、中古レコードの仕入れと店内販売ができるようにしたんです」(康隆さん)

 こうして、“レコードコンビニ”という一風変わった営業形態が誕生した。

「最初は、何を始めたのかと驚いたけれど、3代目には一風変わった才能があるのかもしれません」と2代目の敏雄さんも、今では店の変化を楽しんでいる。

関連記事

トピックス

タイと国境を接し、特殊詐欺の拠点があるとされるカンボジア北西部ポイペト。カンボジア、ミャンマー、タイ国境地帯に特殊詐欺の拠点が複数、あるとみられている(時事通信フォト)
《カンボジアで拘束》特殊詐欺Gの首謀者「関東連合元メンバー」が実質オーナーを務めていた日本食レストランの実態「詐欺Gのスタッフ向けの弁当販売で経営…」の証言
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
まさか自分が特殊詐欺電話に騙されることになるとは(イメージ)
《劇場型の特殊詐欺で深刻な風評被害》実在の団体名を騙り「逮捕を50万円で救済」する手口 団体は「勝手に詐欺に名前を使われて」解散に追い込まれる
NEWSポストセブン
戸郷翔征の不調の原因は?(時事通信フォト)
巨人・戸郷翔征がまさかの二軍落ち、大乱調の原因はどこにあるのか?「大瀬良式カットボール習得」「投球テンポの変化」の影響を指摘する声も
週刊ポスト
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
沢尻エリカ、安達祐実、鈴木保奈美、そして広末涼子…いろいろなことがあっても、なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン