親方衆や行司、呼び出しの衣装も変わる
土俵の勝敗に注目が集まるため、よほどの好角家以外には知られていないが、角界では季節に合わせた装束を身に着ける。土俵の周りに座っている5人の勝負審判の親方衆も、季節によって衣装が違う。基本的に黒の着物の上に紋付の羽織袴を着用しているが、夏は白い単衣の着物に絽や紗の紋付羽織袴を着用している。協会関係者が言う。
「幕内力士も夏場所(5月)、名古屋場所(7月)、秋場所(9月)の3場所は自分の四股名を白く染め抜いた『染め抜き』を着て本場所入りするが、それ以外の本場所は羽織袴を着用している。勝負審判も基本的にはこの3場所は夏用ということになるんでしょうが、5月の夏場所は黒の着物に紋付羽織袴を着用している。7月の名古屋場所から夏用になり、今年に限らず基本的に残暑が厳しい9月の秋場所も白い着物の上に夏用の紋付羽織を着用しています。
行司も冬は絹、夏は麻の素材の装束を着用しているが、手首までしっかり覆われて刺繍が施された重厚なデザイン。さらに烏帽子もかぶる。背中に“なとり”や“紀文”と書かれた呼び出しの着物も夏用と冬用がある。今年の暑さは異常で、上からスポットライトが当たる土俵上を動き回る行司や雑用をこなす呼び出しにとっては過酷です。特に紋付羽織袴を着て土俵上の取組を見つめる勝負審判は大変だと思います」
今場所も初日にデヴィ夫人が紫のワンピース姿で向正面の東花道近くで観戦していたし、2日目には向正面の最前列に高須クリニックの高須克弥氏と漫画家の西原理恵子さんがペアルックの白Tシャツで観戦していたことが話題になった。3日目にはタレントの勝俣州和が赤のシャツに短パン姿で溜席に姿を見せていた。
横綱・照ノ富士が初日から休場し、大関復帰を目指した貴景勝も途中休場となって優勝争いは混沌としそうだが、土俵の周りを彩る親方衆や行司、観客にとっては、暑さのなかで熱い戦いを見つめる日々が続きそうだ。