2018年、地主に成り済ました「地面師」の女を乗せ新宿署に入る車(時事通信フォト)
〈3月30日に、東京マンション事業部営業次長O(資料では実名、以下同)が、私的な会合で知り合ったIから本件不動産の情報を入手したが、その所有者が「売らない地主」として有名な物件であったため、Oは、不動産の知識の乏しいIにこのような土地が手に入るはずがないと考えていた〉
ここで名前が登場するIは、積水側に〈アパレル系〉の会社の実質的経営者として接触していたようだ。Iは、後に地面師グループの一員として警視庁に逮捕された人物だ。
「ドラマでも描かれている通り、地面師グループはそれぞれ役割を分担してコトに当たっていました。土地所有者を偽装する『なりすまし役』や、交渉の場面でなりすまし役の正体が相手にバレないように立ち回る『前さばき役』、犯行に必要な偽造パスポートなどの『道具』の受け渡しを担う『連絡役』などです。Iは、このうち、ターゲットにする買主を探す『客つけ役』の役割を担っていた。そんななかでIは自身の愛人を通じて親しくなったOと知り合い、積水側に近づいていったようです」(前出・元2課担)
ドラマでは「なりすまし役」を手配するのが小池栄子、「前さばき役」が綾野剛とピエール瀧、「道具」の制作者を染谷将太が演じていた。
報告書で、Oは〈その実現を疑問視し、Iには資金がないはずだと推察している〉としており、当初は取引実現に懐疑的だったとみられるが、事態は急展開する。