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石破茂新首相と高市早苗氏、勝負を分けた「5分間」 高市氏の最後の演説はなぜ心に響かなかったのか?臨床心理士の分析

自民党総裁選の決選投票を前に演説する高市早苗氏(EPA=時事)

自民党総裁選の決選投票を前に演説する高市早苗氏(EPA=時事)

 自民党の石破茂氏が新首相に選出され、内閣が発足した。さかのぼること1週間前、自民党の総裁選で最初の投票でトップだったにもかかわらず決選投票で敗れたのが高市早苗氏だ。勝負を分けたのは何だったのか? 臨床心理士の岡村美奈さんが、決選投票前の高市氏による演説について分析する。

 * * *
 9月27日の自民党総裁選、決選投票の末、まさかの逆転劇で第28代自民党総裁に選出された石破茂氏。だが総裁選1回目の投票で1位だったのは計181票を取った高市早苗氏だった。ではなぜ高市氏は敗れたのか。

 1回目の投票での2位は計154票を取った石破氏。総裁選を中継していたメディアには予想以上に支持を伸ばした高市氏が、その勢いのまま勝利するのでは!?という雰囲気が漂っていた。ところが蓋を開けてみると21票差をつけられ高市氏は石破氏に敗れてしまう。決戦投票になれば、旧岸田派の議員らに「党員票1位の候補へ」と指示していたという岸田文雄首相は石破氏支持、麻生太郎副総裁は高市氏支持を固めて、麻生派議員にそう指示。脱派閥といわれた選挙ながら派閥絡みの票集めも行われたが、どちらを支持するか決めかねていた議員もいたことだろう。高市氏になれば総選挙で自民党が勝てるのか、中国や韓国との外交関係は大丈夫かという不安が取り沙汰されていたが、最後に決めかねていた彼らの心を押したのは、決選投票前の5分間の演説だったかもしれない。

 石破氏は落ち着いていた。顔が怖いと自認する石破氏だが、以前から、怖いわりに底知れぬ凄みを感じさせるタイプではなかった。だから下から睨みつけるような視線も、首が前に出たときなど上目遣いに見えてしまい、不安そうに見えることも。さらに話し方は重苦しく、語尾で力を抜いたり、言い終わっても口が半開きになっていることが多かったため、活動的でテキパキしたリーダーという印象が薄いと思われてきた。だが、今回の演説では声のトーンや強さの強弱、テンポの変化をうまく使い、最後に向かって山場を作り、盛り上げることに成功していた。

 対する高市氏は、この日も彼女のイメージカラーなのだろう青のブレザーを着用。冷静で知的な印象を与える色だが、肌のくすみが気になる年代にはお勧めしない色である。青みが強いため顔色がくすんで疲れた印象を与えやすいからだ。首元には真珠のネックレス、インナーは黒。せめてインナーが白ならば、まだ発色効果があったかもしれない。元気に溌剌と活躍していく新総裁をイメージさせたかったのなら、顔色がきれいに見える色のブレザーを選ぶべきだった。

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