芸能

なぜ起きた?夏ドラマの最終話と秋ドラマの第1話“同日同時間放送”珍事のシビアな背景 

『素晴らしき哉、先生!』(ABC、テレビ朝日系)

『素晴らしき哉、先生!』(ABC、テレビ朝日系、HPより)

「夏ドラマの最終話と秋ドラマの第1話が同日同時刻に放送」――ドラマの編成上、めったにない珍事に注目が集まっている。その背景にはどんなことが考えられるのか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。 

* * * 

 かなりめずらしい事態と言っていいでしょう。6日(日)22時30分から、「夏ドラマの最終話と秋ドラマの第1話が同日同時刻に放送される」ことになりました。 

1つは生田絵梨花さん主演の夏ドラマ『素晴らしき哉、先生!』(ABC、テレビ朝日系)の最終話で、もう1つが堀田真由さん主演の秋ドラマ『若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私―』(日本テレビ)の第1話。最終話と第1話は現在の連ドラシーンで極めて重要と言われる放送回だけに、どちらの制作サイドも互いの内容や結果が気になるところでしょう。 

 そもそも民放のゴールデン・プライム帯(19~23時)で放送されている連ドラは16枠ありますが、放送時間帯が完全にかぶっているものはありません(今秋から火曜21時台でテレビ朝日系とフジテレビ系が競合)。最近は「連ドラをリアルタイムで見てもらうためには、できるだけ時間帯を分散させる」ことが共通戦略のようになっていました。 

 では、なぜ今回はこのような珍事に至ったのか。その背景を掘り下げていきます。 

五輪、日劇、新番組の影響を受ける 

 まず通常は9月で終了する夏ドラマ『素晴らしき哉、先生!』が、なぜ10月第1週まで放送されるのか。同作の第1話放送は8月18日でした。他の夏ドラマより1か月以上もスタートが遅かった背景にあるのは、パリオリンピックの開催とTBS日曜劇場の存在。 

 日曜22時台のパリオリンピック中継は、テレビ朝日系で8月4日に放送されたほか、7月28日と8月11日も他局での放送があり、TVerの「ほぼ全競技無料配信」も裏番組としてドラマの脅威になるものでした。 

また、民放ドラマ枠でトップを走り続ける日曜劇場は二宮和也さん主演の『ブラックペアン2』を放送。人気作の続編である上に、全10話中4話で22時台に放送拡大するなど、テレビ朝日系のドラマ枠にとっては放送時間が重なるケースが多く、「まともな勝負を避けた」とみられても仕方がないでしょう。 

 実際、テレビ朝日と制作のABCは『素晴らしき哉、先生!』の終了後、10月20日にスタートする清原果耶さん主演『マイダイアリー』から、ドラマ枠の放送時間帯を22時から22時15分のスタートに変更。やはり「放送延長の多い日曜劇場をできるだけ避けよう」という思惑が感じられます。 

 テレビ朝日にしてみれば、「新番組の『有働タイムズ』を20時56分から22時15分まで放送したいからドラマ枠を15分遅くした」と主張するでしょうが、リアルタイム視聴を狙う上で「トップを走る『日曜劇場』を意識していない」というのは無理があります。 

 さらに今回の“同日同時刻に最終話と第1話が放送”という珍事に至ったのは、『有働タイムズ』の第1回放送が「90分拡大スペシャル」だから。『素晴らしき哉、先生!』は重要な最終話であるにもかかわらず放送時間帯を30分も後倒しにされ、その結果、日本テレビの『若草物語』第1話と完全にバッティングしてしまったのです。 

「何かを避けられたとしても、別の何かに当たる。ならばどちらのほうがダメージは少ないのか」「番組表の中で優先度の高いものはどれか」というテレビ朝日のシビアな編成戦略が見て取れます。 

関連キーワード

関連記事

トピックス

フリー転身を発表した遠野なぎこ(本人instagramより)
「救急車と消防車、警官が来ていた…」遠野なぎこ、SNSが更新ストップでファンが心配「ポストが郵便物でパンパンに」自宅マンションで起きていた“異変”
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
モンゴルを訪問される予定の雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、「灼熱のモンゴル8日間」断行のご覚悟 主治医とともに18年ぶりの雪辱、現地では角界のヒーローたちがお出迎えか 
女性セブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
「『逃げも隠れもしない』と話しています」地元・伊東市で動揺広がる“学歴詐称疑惑” 田久保真紀市長は支援者に“謝罪行脚”か《問い合わせ200件超で市役所パンク》
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン