交通取り締まり現場で警告を受けた改造自転車。2023年12月22日(時事通信フォト)
しかし、モペットの見た目が自転車に酷似しているために、違法走行がわかりにくく、摘発もされにくい。街を走行するモペットを観察していると、ナンバープレートやヘルメット着用という前提ルールを守っているユーザーのほうが少ないくらいの印象、といっても言い過ぎではないほどだ。渋滞の中をすり抜けたり、歩道を通行人の間を縫うように走行したり、やりたい放題のドライバーも目につく。
通販でも数万円。乗っちゃいますよね
渋谷区内で、モペットによる違法走行をしていた専門学校に通う男性(10代)は、筆者の呼びかけに応じ、悪びれる様子もなく話す。
「パッと見自転車ですが、ペダルをこがなくても原チャ(原付バイク)よりスピードも出る。違法なのはわかってますが、渋谷の店でも量販店でも、通販でも数万円で買えてしまうので、乗っちゃいますよね。一度、警察に止められそうになりましたけど、ペダルをこいで”電動自転車だ”と言い張ったら大丈夫でした。(違法行為については)あまり深く考えてませんが、スピードも出るし便利ですからね」(専門学校生)
モペットを取り扱う都内の自転車店スタッフの男性(20代)は、匿名を条件に筆者の取材に次のように答える。
「うちで扱っているモペットは、すべてそのままでは公道走行不可、ということをお客さんに承知してもらってから販売しています。原付バイクのように、店のほうが購入時に免許の確認をしたり、保険に入ってもらったり、ナンバーを取り付けないといけない決まりはないので、口頭で確認だけして販売しています。正直、ほとんどのお客さんが公道を走る目的で購入されていると思いますよ。通販や量販店ではさらに安い海外製のモペットが販売されていて、車と同じくらいのスピードが出るものもある」(自転車店スタッフ)
冒頭で触れた道路交通法を守らない「電動キックボード」と共に、この違法モペットについても、警察関係者は「危険な走行が横行しており、摘発を徹底するしかない」と鼻息も荒い。ところが現実はその先を行っている状態だ。最近では、モペットとは別の違法車両も登場している。先の自転車店スタッフが続ける。
「モペットだと捕まるからといって、一般に販売されている電動自転車の違法改造が一部のショップで行われています。違法改造をすれば、電動自転車のスピードが上がるのです」(自転車店スタッフ)