公道を走っていて警察の取り締まりを受けるペダル付き原動機付き自転車。ナンバープレートがなかった(時事通信フォト)
見た目では違法改造は全くわからない
前出の自転車店のスタッフによれば、都内の自転車店の中には、販売時に「スピードアップ」等の名目で、客に違法な改造をすすめている店があるという。具体的には、電動自転車に使われているギア比、ペダルを1回転させたときの後輪の回転数を変えて、道路交通法で定められたアシスト(補助)比率に適合しない自転車にすることだ。普通の電動自転車は、ペダルをこいでスピードが上がるとモーターが止まるが、違法改造車はペダルもモーターも止まらないままになる。その結果、とても自転車とは思えないスピードで走る。これはれっきとした違法行為だ。
「電動自転車のアシスト力は、人の力の2倍までと法律で定められていて、時速24キロを超えるとアシスト力はゼロになる。でも改造をすれば、24キロを超えてもアシスト力が続き、原付バイク並みの速度で走れます。見た目では違法改造は全くわかりませんし、警察に止められてもその場で調べられるわけもない。SNS上にも”早くなった”と書き込むユーザーがいますが、違法行為という認識が薄いのです」(自転車店スタッフ)
筆者は当該の自転車店を訪ねたが「取材拒否」と言われ追い返された後、商売の邪魔をするなら「訴訟する」とまでメッセージが届いたが、違法行為に関する回答は得られなかった。
電動キックボードや電動自転車、そしてモペット。いずれも、新しい時代のニーズに沿った新しい乗り物、という触れ込みであったはずだが、一部の不届き者、ならず者のせいで規制が進み、一般市民が「気軽に利用できる」機会は徐々に失われることになるのかもしれない。
