ライフ
吉原花魁の『べらぼう』な世界

【花魁になれるのは100人にひとり】大河ドラマ『べらぼう』で注目が集まる江戸時代・吉原の過酷な女郎社会 心の支えは本当に好きになった“間夫”だった

世界を知ればもっと楽しめる/大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合日曜夜8時放送中)より

豪華絢爛で残酷な世界を知ればもっと楽しめる/大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合日曜夜8時放送中)より

 大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』には、煌びやかな花魁、女郎屋を仕切る女将、身体を壊した下層の女郎など様々な女性が登場する。その豪華絢爛で残酷な世界を知れば、大河ドラマがもっと楽しめる。

女郎たちの光と影

『べらぼう』が描く江戸中期の吉原は客足が遠のき、苦境に立たされていたが、そんな中でも花の井(小芝風花)と松の井(久保田紗友)は、吉原で一、二を争う老舗女郎屋「松葉屋」の花魁として存在感を放つ。特に花の井は実在した記録が残る。遊女の歴史に詳しい同志社大学教授・佐伯順子氏が解説する。

「吉原遊郭には最盛期で3000人以上の女郎が在籍し、厳格な格付けがありました。花魁になれたのは7~8歳から吉原で修業して芸や教養に優れ、美貌も兼ね備えた女郎だけ。江戸時代の文献によれば100人に1人しかなれなかった選ばれし位でした」(以下、「」内同)

 花魁だけに許されたのが、馴染みの上客を出迎えるための花魁道中だ。女郎屋から引手茶屋まで新造(若い女郎)や禿(女郎見習いの少女)を引き連れて練り歩く光景は華やかで、見る者は魅入られた。

 花魁の揚代は高く、ほとんどの一般庶民の手に届かなかった。客は初めて登楼した「初会」や2度目の「裏」では話をして芸を見るだけで、3回目の「馴染」で初めて同衾できたという伝説があるほどだ。

 一方、下級女郎の境遇は随分と異なっていた。第1回放送で大きな話題となったのが、松葉屋の元花魁・朝顔(愛希れいか)の最期を描いた場面だ。病気のため最下層の女郎屋に移っていた朝顔は、病死した末に身ぐるみを剥がされ、他の下級女郎とともに「投込寺」に裸で打ち捨てられた。

「こうしたケースは珍しくありませんでした。吉原の女郎は27歳で年季明け(定年)となりますが、実はそこに至る前、20代前半で病気や衰弱で亡くなることが多かったのです」

 望まぬ相手と同衾しなければならない精神的苦痛に加え、肉体的な過酷さもあった。「我らは八つの徳を忘れた外道“忘八”よ」と自嘲する扇屋宇右衛門(山路和弘)のように多くの女郎を抱える女郎屋の主人たちは利益を最優先にして、女郎たちの待遇は蔑ろにされてきた。ドラマで蔦重が決死の覚悟で田沼意次(渡辺謙)に陳情したのも、このためであった。

関連記事

トピックス

米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
埼玉では歩かずに立ち止まることを義務づける条例まで施行されたエスカレーター…トラブルが起きやすい事情とは(時事通信フォト)
万博で再燃の「エスカレーター片側空け」問題から何を学ぶか
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
事業仕分けで蓮舫行政刷新担当大臣(当時)と親しげに会話する玉木氏(2010年10月撮影:小川裕夫)
《キョロ充からリア充へ?》玉木雄一郎代表、国民民主党躍進の背景に「なぜか目立つところにいる天性の才能」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
米利休氏とじいちゃん(米利休氏が立ち上げたブランド「利休宝園」サイトより)
「続ければ続けるほど赤字」とわかっていても“1998年生まれ東大卒”が“じいちゃんの赤字米農家”を継いだワケ《深刻な後継者不足問題》
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン