芸能
吉原花魁の『べらぼう』な世界

【大河ドラマ『べらぼう』撮影秘話】女将いね役・水野美紀が語る演技のこだわり「眉毛なしは特殊メイク30分」「おでこを動かして目で感情を表現」

元花魁で老舗女郎屋「松葉屋」の女将・いね役を演じる水野美紀(左)/大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合日曜夜8時放送中)より

元花魁で老舗女郎屋「松葉屋」の女将・いね役を演じる水野美紀(左)/大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合日曜夜8時放送中)より

 大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』には、煌びやかな花魁、女郎屋を仕切る女将、身体を壊した下層の女郎など様々な女性が登場する。

 その中でも、水野美紀が演じるのは元花魁で老舗女郎屋「松葉屋」の女将・いね役だ。女郎屋は“忘八”として描かれるが、いねは女郎の苦楽を知り尽くした立場から現役たちを支える。水野が『べらぼう』の撮影を振り返る。

 * * *
 いねを演じるにあたり、「かなり早口で金に細かい女将」だと説明を受けました。いねのせっかちな性分を表現するために早口で抑揚をあまりつけず、言葉をポンポン投げ渡すようなしゃべり方を心がけています。

 口調や淡々と切り盛りする姿から冷たい人にも見えますが、もとは花魁で吉原を熟知している女性です。松葉屋の女郎を見守り、幸せを願っている。金に細かいのも松葉屋を繁盛させて彼女たちにお腹いっぱいおまんまを食わせるための、いねの愛情表現なんです。

 放送が始まって女郎屋の女将に眉毛がないと話題になりましたが、眉毛のあるなしで顔の印象ってすごく変わりますね。あれは特殊メイクなんです。完成まで30~40分かかって、いね役に入るスイッチになっています。

 眉毛には人格が現われるので、隠れると無表情に見えがち。さらに特殊メイクをするとおでこが動かしづらくなるので、どうにかおでこを動かして目で感情を伝えられるよう、意識しています。

 歴史ある大河ドラマとなると身構えるものですが、監督やスタッフの皆さんは遊び心があって懐が深いんです。キャストのアイディアも受け入れてくださり、第1回で蔦重が長谷川平蔵に「駿河屋でございます」と見得を切る場面は横浜流星さんのアドリブです。

そこでいねが「いよぉっ!」と反応するのは半左衛門役の正名僕蔵さんが始めたアドリブ。いねのほうが面白いと私が言うことになりました。そんな風に脚本から膨らんでいく作業もあって刺激的です。

 劇中で蔦重はよく言葉遊びをしますが、現場でも蔦重の「ありがた山」が流行っています。差し入れがあると皆さん、「ありがた山です!」と言いながら食べたりして(笑)、私も使っています。

【プロフィール】
水野美紀(みずの・みき)/三重県出身。主な出演作にドラマ「踊る大捜査線」シリーズ、「探偵が早すぎる」、連続テレビ小説『スカーレット』など。今年5月上演の舞台「ケムリ研究室no.4『ベイジルタウンの女神』」(東京・世田谷パブリックシアター)に出演予定。

取材・文/渡部美也

※週刊ポスト2025年2月28日・3月7日号

関連記事

トピックス

連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
《ルフィ事件》「腕を切り落とせ」恐怖の制裁証言も…「藤田は今村のビジネスを全部奪おうとしていた」「小島は組織のナンバー2だった」指示役らの裁判での“攻防戦”
NEWSポストセブン
モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月12日、撮影/横田紋子)
《麗しのロイヤルブルー》雅子さま、ファッションで示した現地への“敬意” 専門家が絶賛「ロイヤルファミリーとしての矜持を感じた」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
三原じゅん子氏に浮上した暴力団関係者との交遊疑惑(写真/共同通信社)
《党内からも退陣要求噴出》窮地の石破首相が恐れる閣僚スキャンダル 三原じゅん子・こども政策担当相に暴力団関係者との“交遊疑惑”発覚
週刊ポスト
ツアーに本格復帰しているものの…(左から小林夢果、川崎春花、阿部未悠/時事通信フォト)
《トリプルボギー不倫》川崎春花、小林夢果、阿部未悠のプロ3人にゴルフの成績で “明暗” 「禊を済ませた川崎が苦戦しているのに…」の声も
週刊ポスト
兄・輝星と仕草も容貌も瓜二つの吉田大輝
金足農業・吉田大輝「甲子園で優勝して、兄・輝星を超えたい」決意 顔も仕草も瓜二つだが、「まるで違う」と父が明かす2人の性格
週刊ポスト
山本アナは2016年にTBSに入局。現在は『報道特集』のメインキャスターを務める(TBSホームページより)
【「報道特集」での発言を直撃取材】TBS山本恵里伽アナが見せた“異変” 記者の間では「神対応の人」と話題
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO(HPより)
「城島さん、松岡さんと協力関係は続けていきたいと思います」福島県庁「TOKIO課」担当者が明かした“現状”と届いたエール
NEWSポストセブン
映画『国宝』で梨園の妻を演じた寺島しのぶ(52)
《無言の再投稿》寺島しのぶ、SNSで2回シェアした「画像」に込められた歌舞伎役者である息子・尾上眞秀への“覚悟”
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《ベビー服は男の子のものでは?》眞子さん、夫・小室圭さんと貫く“極秘育児”  母・佳代さんの「ラブコール」も届かず…帰国が実現しない可能性も
NEWSポストセブン
吉沢亮演じる喜久雄と横浜流星演じる俊介が剣幕な表情で向かい合うシーンも…(インスタグラムより)
“憑依型俳優”吉沢亮主演の映画『国宝』が大ヒット、噂される新たな「オファー」とは《乗り越えた泥酔事件》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“半日で1000人以上と関係を持った”美女インフルエンサー(26)がイギリスの公共放送で番組出演「口をすぼめて、吸う」過激ビジュアル
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 三原じゅん子「暴力団ゴルフコンペ」写真ほか
「週刊ポスト」本日発売! 三原じゅん子「暴力団ゴルフコンペ」写真ほか
NEWSポストセブン