スポーツ
人生で残酷なことはドラゴンズに教えられた

スターといえば「ドアラ」くらい…不遇に喘ぐ中日に足りないものをファンが提言「荒削りでも巨大な敵を倒す無名戦士たちであれ」【中日ドラゴンズに学ぶ人生の教訓】

開幕投手を務めたエース高橋宏斗の活躍が待たれる(時事通信フォト)

開幕投手を務めたエース高橋宏斗の活躍が待たれる(時事通信フォト)

 今シーズンの開幕以来Bクラスに沈む中日ドラゴンズ。現状を打開するために必要なものとは何か。著書『人生で残酷なことはドラゴンズに教えられた』で、物心ついた頃からのドラゴンズの思い出を綴ってきた富坂聰氏(拓殖大学海外事情研究所教授)が、「ドラゴンズの現在と未来」というテーマに立ち向かう。(シリーズ第20回。第1回から読む

 * * *
 ここ数年、朝起きて最初にする作業は、スマホに届いた広告メールの削除だ。仕事で使うメールとその他でアドレスを分けている都合上、作業のほとんどはメールの削除だ。タイトルだけを見て、ひたすら削除をタップする。

 大量消費時代の水を飲んで育った影響なのか、捨てることに良心は痛まない。巨人の選手のプロ野球カードを捨てるようなもんだ(良い子はマネしないで)。むしろ、削除を確認するボタンを押すときは、小さな快感さえ覚える。スッキリする。

 読まずに削除する大量のメール。そのなかには巨人とヤクルト、そして横浜のファンクラブが発行するメルマガも含まれている。読まずに捨てる。これ、関東在住の“ドラファンあるある”だろう。東京ドーム、神宮球場、横浜スタジアムのチケットを取るために、仕方なく登録しているのだ。

 怖いもの見たさで覗いてみたくなるときもある。でも、しない。ちょっとでも魅かれたり、興味を刺激されたりすると不愉快だからだ。

 でも、試合を観に行った球場では、そんなことがときどきある。

 横浜スタジアムで山崎康晃投手がリリーフ登板するときの、「や・す・あ・き!」とファンの大合唱が轟く応援歌を、「なんてカッコイイんだ」と思ってしまった。何なら一緒にジャンプしそうになった自分が許せなかった。

 山崎が出てくるということは、当然、ドラゴンズが劣勢なのに……。あんな気持ちに二度となりたくない。もう二度とカッコイイなんて思ってはいけない。そう自らを戒めた。一人言論統制、思想統制だ。

 山崎の登場シーン、カッコイイぞ、チクショウ! 電車に乗ろうとして、ICカードのタッチを「や・す・あ・き」の「き」でやってしまいそうになったときは戦慄を覚えた。

スターは「ドアラ」しかいないのか?

 神宮球場で声援を浴びるつば九郎を、可愛いと思ってしまった自分も許せない。

 いや、ドアラを超える愛着は湧かないんだ。湧かないけど、ドアラは「可愛い」のとはちょっと違うってことは分かる。でも、直球の「可愛い」にも人は弱い。

 それにしても、ドアラが「全国区の」人気を博しているのはどうしたことだろう。名古屋発というだけで無条件に「イロモノ枠」にぶち込まれ、どんなものにも大きな逆風が吹く風潮のなかで。

 やっぱり、オーストラリアが誇る無敵の有袋類「コアラ」のおかげなのだろうか。ディンゴ(選手ではなく野犬のほうね)とは格が違うということか。

 オーストラリアでコアラを見たときは、結構すばしっこくてギャーギャー騒がしくて、イメージの調整を迫られたが、それでも東山動植物園のコアラは静かで可愛いはずだ。

 いや、どう見ても人間とコアラの混合物であるドアラは、人間の要素のほうが割合的にも勝っていて特殊だ。あのとんでもない頭身バランスを考慮しても、6〜7割くらいは人間だ。

 ドラファン以外の誰がそんなにドアラを「可愛い」と思ってくれるのだろうか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一
《どうなる“新宿DASH”》「春先から見かけない」「撮影の頻度が激減して…」国分太一の名物コーナーのロケ現場に起きていた“異変”【鉄腕DASHを降板】
NEWSポストセブン
混み合う通勤通学電車(イメージ)
《“前リュック論争”だけじゃない》ラッシュの電車内で本当に迷惑な人たち 扉付近で動かない「狛犬ポジション」、「肩や肘にかけたままのトートバッグ」
NEWSポストセブン
日本のエースとして君臨した“マエケン”こと前田健太投手(本人のインスタグラムより)
《途絶えたSNS更新》前田健太投手、元女子アナ妻が緊急渡米の目的「カラオケやラーメン…日本での生活を満喫」から一転 32枚の大量写真に込められた意味
NEWSポストセブン
リフォームが本当に必要なのか戸惑っているうちに話を進めてはいけない(イメージ)
《急増》「見た目は好青年」のケースも リフォーム詐欺業者の悪質な手口と被害に遭わないための意外な撃退法 
NEWSポストセブン
出廷した水原被告(右は妻とともに住んでいたニューポートビーチの自宅)
《水原一平がついに収監》最愛の妻・Aさんが姿を消した…「両親を亡くし、家族は一平さんだけ」刑務所行きの夫を待ち受ける「囚人同士の性的嫌がらせ」
NEWSポストセブン
夫・井上康生の不倫報道から2年(左・HPより)
《柔道・井上康生の黒帯バスローブ不倫報道から2年》妻・東原亜希の選択した沈黙の「返し技」、夫は国際柔道連盟の新理事に就任の大出世
NEWSポストセブン
新潟で農業を学ことを宣言したローラ
《現地徹底取材》本名「佐藤えり」公開のローラが始めたニッポンの農業への“本気度”「黒のショートパンツをはいて、すごくスタイルが良くて」目撃した女性が証言
NEWSポストセブン
妻とは2015年に結婚した国分太一
《セクハラに該当する行為》TOKIO・国分太一、元テレビ局員の年下妻への“裏切り”「調子に乗るなと言ってくれる」存在
NEWSポストセブン
1985年春、ハワイにて。ファースト写真集撮影時
《突然の訃報に「我慢してください」》“芸能界の父”が明かした中山美穂さんの最期、「警察から帰された美穂との対面」と検死の結果
NEWSポストセブン
歴史学者の河西秀哉氏
【「愛子天皇」の誕生を希望】歴史学者・河西秀哉氏「悠仁さまに代替わりしてから議論しては手遅れだ」 皇位継承の安定を図るには“シンプルな制度”が必要
週刊ポスト
無期限の活動休止を発表した国分太一
「給料もらっているんだからさ〜」国分太一、若手スタッフが気遣った“良かれと思って”発言 副社長としては「即レス・フッ軽」で業界関係者から高評価
NEWSポストセブン
ブラジル訪問を終えられた佳子さま(時事通信フォト)
《クッキーにケーキ、ゼリー菓子を…》佳子さま、ブラジル国内線のエコノミー席に居合わせた乗客が明かした機内での様子
NEWSポストセブン