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藤井聡太七冠が名人戦第2局で「AI評価値99%」から詰み筋ではない“守りの一手”を指した理由とは

藤井聡太名人(時事通信フォト)

藤井聡太名人(時事通信フォト)

 藤井聡太名人(竜王、王位、王座、棋王、王将、棋聖)と挑戦者の永瀬拓矢九段による名人戦。第1局に続き第2局も藤井名人が連勝。第3局は5月9、10日に大阪(ホテル日航関西空港)で行なわれるが、3連覇に向けて大きく前進している。

 4月29日からの第2局は藤井名人の先手で始まった。8手目に永瀬九段が3三角と上がったのが意表を突いた一手。藤井名人は誘導に応じて自然に同角成とし、永瀬九段の同金で「3三金型角換わり」という珍しい戦型となった。

 両者ともに仕掛けの糸口を与えないじりじりとした進行が続き、ほとんど形勢が動かない緊迫した展開となった。観戦者の目には、後手の永瀬九段は千日手辞さずの姿勢とも見られたが、実際にはそうではなく、永瀬九段は2日目に入ったところで、積極的に戦いを仕掛けていった。

 中盤から終盤にかけては複雑な攻防が続き、途中は永瀬九段がペースをつかんだと見られた場面もあった。しかし藤井名人は離されずについていく。最終盤の102手目、永瀬九段が銀を前に進めた手がわずかに疑問で、形勢は次第に藤井名人よしへと推移していった。

 138手目の段階でネット中継の画面には「勝率」が「99%」と示されていた。これはコンピュータ将棋(AI)の評価値を換算した数字だ。つまりは、永瀬九段の玉に5一角からの詰み筋があったことを意味していた。

 もちろん、普通の観戦者にとってはそう簡単な順ではないが、ネット中継で「正解手順」を知っている。全人類の中で傑出して詰将棋が得意な藤井名人が、いつものように華麗にその詰み筋を読み切って、詰ますものだと思っていた観戦者は多かった。

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