尹錫悦前大統領(左)の夫人・金建希氏に贈賄疑惑(時事通信フォト)
韓国で大統領選(6月3日投開票)が盛り上がりを見せるなか、前大統領の周辺に重大な疑惑が飛び出した。
ソウル南部地検は4月30日、旧統一教会幹部から尹錫悦前大統領夫人の金建希氏に高額の贈り物が渡ったとされる贈賄疑惑を巡り、夫妻の自宅に家宅捜索に入った。
「元統一教会幹部はまず大統領夫妻と付き合いのあるシャーマンの男性に600万円相当のダイヤモンドのネックレスや高級バッグを渡し、彼を通じて金夫人に渡ったとされています。教会の推進するカンボジア事業に関連し、政府開発援助事業(ODA)の支援を受けるため金夫人に便宜を図るよう依頼したと検察は見ているようです」(在韓ジャーナリスト)
教会幹部は2022年3月に尹氏と面会し、その3か月後、尹政権は今後5年間のカンボジアへの対外経済協力基金借款の支援限度を7億ドルから15億ドルに増額した。
「旧統一教会は文鮮明氏が1954年にソウルで創立した教団ですが、韓国内での信者は少なく、伝統的なキリスト教団体からは異端扱いされています。ただし、日本と同じように、韓国でも水面下で政財界へのパイプを持つことで影響力を保ってきた」(同前)
過去にも韓国政界と旧統一教会の関係が注目されたことがあった。きっかけとなったのは、朴槿恵政権時代に国政介入疑惑でクローズアップされた女性占い師・崔順実氏だ。ソウル在住ライターが言う。
「崔氏は旧統一教会との深い関係が取り沙汰されてきた人物で、朴政権の発足後、教会の元欧州総責任者を駐イタリア大使に推薦していたと報じられました。教会系の新聞社の幹部が崔氏の側近で固められていたとする報道もあり、崔氏と朴氏の関係の後ろに、旧統一教会の影を見る声もありました」
金夫人の捜査をきっかけに、韓国政界でも教会との蜜月が暴かれていくのか。
※週刊ポスト2025年5月23日号